青春を謳歌したい! 〜剣と魔法の学校生活〜

四季

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19.新しい時間割り!

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 約一ヶ月にわたる夏期休暇、フレアはミルフィやリカルドと静かに暮らした。

 ミルフィに誘われて街へ出掛けたり、夏限定メニューのかき氷を五つの味すべて食べるよう頑張ったり。地味ながら充実した休暇となった。

 そして訪れる、夏期休暇最後の週。
 帰省していた生徒たちも段々学院の敷地内へと戻ってきて、賑やかになってくる。

 だが、皆が戻ってきたからといってすべてが普段通りになるわけではなく。授業はないので、ゆっくりと過ごすことができる日々はもうしばらく続く。


 そして九月。

 まだ暑い中、授業が再開されていく。

 初日は比較的短時間で解散。というのも、久々に集まって、生徒たちの体調を確認することが主な目的なのだ。それに加え、これからの日程についてもひと通り説明がある。時間割りや行事予定などを担任から聞いたら、初日はおわりである。

「元気そうで何よりだわ、カステラちゃーん」
「みんな揃って良かったですーっ!」
「しばらく会えなくて寂しかったわ。カステラちゃん、またお茶しましょ?」
「はい!」

 ミルフィとカステラは再会を喜んでいた。

  花組は一人も欠けることなく無事集まることができ、こうして、後期が幕開けるのだった。


 火曜日、一限目は生徒たちの間で人気低めの古代文。
 夏休み明けの一発目がこの科目だったので、皆、いきなりやる気を喪失しかけていた。

「この記号がついている際には、文字をこうこうこうという順に読み進め……」

 席替えはないので、座っている席の位置は七月までと同じ。

「あーねっむいわー」
「ミルフィ? いきなりやる気なくしてるけど、大丈夫?」
「やる気ある人の方が少ないわよー」
「そう? まぁ、確かに、かなり難しいけど……」

 古代文の静かな授業は眠気を誘いがち。実際、古代文の授業中には眠っている生徒も少なくない。ミルフィもまた、そのうちの一人だった。そももそ座学が得意でないミルフィからすれば、やたら難解なこの授業は苦痛以外の何物でもないのだろう。

 カステラはまたもや魔術関連の本を熟読している。
 リカルドは、きちんとノートを取りつつも、布で剣を磨いていた。

 その日は、二限目以降も座学が続く時間割りだった。

 二限目は魔術発展、三限目が数学2で、ラストの四限目は歴史2。ちなみに、魔術発展は魔術基礎の続きに当たる内容であり、数学2と歴史2も、当然、数学や歴史の続きの内容である。

「あー! あったま痛ーい!」

 解散になるや否や、ミルフィが大きな声を発した。
 ミルフィは半分くらいは寝ていたが、それでも、座学ばかりの時間割りはかなりきつかったようだ。

「聞いて下さいー! カステラ、一冊読めましたーっ!」
「……自慢になってないだろ」

 カステラの主張に突っ込みを入れたのはリカルド。
 意外な者からの突っ込みに、カステラは驚いた顔をした。

「リカルド……さん?」
「……あぁ。いや、すまん。つい突っ込んでしまった」
「ついに! カステラと友達になって下さるんですねっ!?」
「いや、それは無理」
「ふぇ!?」

 珍しくリカルドとカステラが交流しているのを、フレアは穏やかな気持ちで眺めていた。


 水曜日は、体を動かす授業が多い日だった。

 一限目は授業なし、という意味では楽さもあるのだが、実技が得意でないフレアからするとそれなりにハードな日だ。

 ミルフィが好きな格闘術から始まり、魔術実技、体力作りと続く。教室移動も忙しい。そして最後、五限目だけは、教室で行われる座学。数学2である。

 昨日の時間割りとは逆に、体を動かしたい派の生徒が有利な構成になっていた。
 もう少し均等に配分できないものか、とフレアは内心思う。が、愚痴を言っても何も変えられないことは彼女も知っている。だからフレアは、特に何も言わず、できる範囲で取り組んでいた。

 続く、木曜日。

 一限目は魔術系の座学である魔術発展、二限目は治療学習という治療基礎の応用的な内容のもの、そして三限目は国語2である。比較的無難な構成であり、しかも早めに終了するという、生徒たちからすれば嬉しくありがたい曜日だった。

 そして、週の最終日とも言える金曜日。

 この日は五限すべてが埋まっているという、生徒からすると若干厄介な日だ。

 一限目から順に並べると——国語2、剣術、格闘術、歴史2、芸術という構成。その中でも、五限目の芸術は複数のグループに分かれて選択した内容について学ぶ仕組みになっている。絵画のグループ、彫刻のグループ、工作のグループなどがあり、その中から好きな一つを選択するのだ。特殊な形の授業である。

「お疲れ様! フレアちゃん!」
「えぇ、お疲れ様。ミルフィ、今日は何だか元気そうね」
「だって明日から休みよ!」
「そういうこと。土曜日だものね」

 休みが楽しみで仕方ないミルフィを見て、フレアは苦笑するのだった。


 夜、ふと目覚めてしまったフレアは、夜風を浴びようとこっそり部屋から抜け出す。
 すると偶然リカルドに遭遇した。

「リカルド……! どうしてこんな時間に……?」

 ばったりリカルドに出会ったフレアは、寝巻きの薄いワンピースのまま出てきたことを少し後悔したようで、己の体をチラチラ見ていた。

「眠れなくてな」

 リカルドは寝巻きではない。ガーベラ学院の制服だ。

「……眠れなかったの?」
「そう言ったろ。繰り返さなくていい」
「もー。何その言い方」

 既に消灯時間も過ぎているため、寮の廊下は薄暗い。万が一に備えて完全には消灯されていないので互いの顔が見えるくらいの明るさはあるのだが、さすがに「明るい」とは言えない程度の光量だ。

「学校生活はどうだ、王女」

 一分ほど経って、リカルドは口を開いた。

「え?」
「来たかったんだろ、こういうところに」

 フレアは数秒考えてから答える。

「……うん」

 両手を腹の前で組みながら、フレアは話す。

「憧れてたの。城の外の世界に」
「で、感想は」
「憧れてた通りよ! 素晴らしいところだわ。皆優しいし」

 無邪気に答えるフレアを見たリカルドは、やや暗い表情で目を細めた。

「……城には厄介な輩が多かったもんな」
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