青春を謳歌したい! 〜剣と魔法の学校生活〜

四季

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35.告白され過ぎて疲れてた!

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 アダルベルトに教えてもらってスイーツコーナーにたどり着いたフレアは、その色とりどりの世界に魅了される。

「す、凄いっ……!」

 思わず声が漏れたくらい、熱のこもったスイーツコーナーだった。

 大皿に一種類ずつ盛られていて、それを自由に取っていく形になっている。

 フレアが一番に見惚れたのはマカロン。丸みを帯びた形が愛らしく、色も桜色や水色、黄、黄緑、白、赤茶と様々。パステルカラーを中心として、様々な色のものが用意されている。それらが並んでいる様は、まるで絵画のよう。

「フレア王女はマカロンが好きなのかい?」
「い、いえ。べつに。ただ、綺麗だなぁって思っただけよ」

 目からでも楽しめるところが気に入ったのだ。
 食べたい、という理由だけで惚れ込んでいるわけではない。

「うむ! 確かに美しい!」

 フレアの意見にアダルベルトは共感する。

「他のものもあるのね」
「あぁ! それはもちろん! ケーキ、焼き菓子、とにかく色々あるのだよ」

 フレアがアダルベルトと二人でスイーツコーナー漁りをしていると、ミルフィがやって来た。

「あ。ミルフィ」

 接近してくる友人兼ルームメイトの存在を視認したフレアは、片手を大きめに振って特に何でもない合図を送る。

「フレアちゃんったら、どこに行ってたの?」

 ミルフィは問いを放つ。
 その後、回答が返ってくるより先に、「探したのよー?」と付け加えた。

「今ここへ来たところ。それまでは少し寛いでいたの」

 フレアがさらりとそう答えた。

「あらあら、そうだったのねぇ」

 今のミルフィは手ぶらだった。荷物どころか、皿一枚すら所持していない。

「ミルフィは? 何か食べてる途中?」
「だから言ったでしょ? フレアちゃんを探していたのよ」
「そうだったの! ……ごめん」
「あら、可愛いわね。いいのよ。フレアちゃんを責める気はないわ」

 そういえば、とミルフィは小さめの声で言う。
 何かと思いきょとんとするフレア。

「彼、女の子から物凄く告白されていたわよ」

 ミルフィはその長い睫毛に彩られた目からの視線で『彼』を示す。フレアはその示しに従って視線を動かし、『彼』が誰なのかを知った。

「え! リカルドが!?」

 フレアの視界にはリカルドの姿が確かに存在していた。
 しかも、そのリカルドは何人もの女子生徒に囲まれている。フレアは見たことのない女子生徒たちが、互いを押し合いながらリカルドに迫っていた。何が何でも自分が一番になろうという積極性からは、女の怖さが恐ろしいくらい滲み出ている。

「た、確かに……。皆かなり積極的ね……」

 さすがのフレアも、そんなところへ入っていく自信はない。リカルドとは恋愛関係なわけではないけれど、今あそこへ入っていくと勘違いされそうで、恐ろしくて。

「だから、ね? フレアちゃん! あたしと一緒にいましょ?」
「えぇ。あんなところには怖くて入っていけないものね」
「彼も大変よねー。あんなにわんさか寄ってこられちゃって。ふふ」

 ミルフィは他人事だ。
 可哀想に思うどころか、リカルドが困っているのを見て楽しんでいるようである。

「ほう。彼は人気者なのだね」

 フレアとミルフィの会話に唐突に参加してくるアダルベルト。

「珍しいことよ? リカルドはモテる方じゃないもの」
「モテる方じゃない!?」
「アダルベルトったら、いちいち大層ね。反応が大きくて面白いわ」
「は、ははは……」

 食事した後はダンスパーティー。生徒たちが自由に踊る会も開かれる。順位を決めるようなものではないため、気楽に参加できる催し物だ。

 フレアは最初どのような会なのか分からず一歩踏み出す勇気が出なかった。しかし、他の生徒たちが踊っているのを見て、段々理解できてきた。ダンスと言っても色々なものがあるわけだが、ここで行われるダンスは、男女で踊るもののようだ。いわば、舞踏会のようなもの。

「フレアちゃんは参加するのかしら?」
「ああいう踊りなら少しは踊れるわ!」

 男女で組み合って踊るダンスパーティーは、城にいた頃も時折開催されていた。また、いつか参加する時に備えてレッスンを受けたこともある。それを生業とするほどの腕はないが、軽く踊る程度なら不可能ではない。

「そう! さっすがフレアちゃんねぇ。あたしは、男は嫌いだから、女の子と踊りたいわねぇ」
「ミルフィらしいわね」
「あらー? それはどういう意味かしらー?」
「変な意味じゃないわよ」


 その日、リカルドはずっと、女子生徒から声をかけられていた。

 彼は女子への興味などあまりない。そのため、告白にも似たような言葉をかけられても、あまり嬉しくはなかった。元々女子受けは良い方ではなかったので、こうも声をかけられるのは初めての経験。ただ、その経験は、彼にとって嬉しいものではなかったのだ。

「リカルドさんですよね? この前、とっても強いところを見て、惚れてしまったんです!」

 積極的に迫ってくる女子には良い印象がない。リカルドとしては、なんだかんだで心は通じ合うような関係が心地よいのだ。良い例は、フレアとの関係。フレアとは、弾き合っているようで分かり合えているので、リカルドとしても不都合ではない。

「……惚れられるようなことをした気はないが」

 今のリカルドは疲れ果てたような顔をしている。

「えぇー! あんな戦いぶりを見て惚れないわけないですよー!」
「言っておくが、俺は女に興味がない」
「えー! ウソッ! 同性が好きな方なんですかー!?」

 今日のリカルドはとことんついていない。女子から逃れるために言ったことが、余計に絡んでこられる原因となってしまったのだ。しかも、話の膨らみ方が妙。誤解を生んでしまっている。

「おい、待て。なぜそうなる」
「だって言ったじゃないですかー。女に興味がない、って!」

 誤解であっても、厄介な者から逃れるための一つの要素となれば、まだしも良い。しかし、今回のこの誤解の場合、良い方向へ向かいそうにはない。

「話を聞け。そういうことじゃない」
「え、違いましたか?」
「恋愛などというものに興味がない、ということだ」
「えーっ! かっこいいのに!」

 やたらハイテンションで絡んでくる女子生徒を見て、リカルドは渋い顔をする。不愉快過ぎる、とでも言いたげな顔つきだ。しかし、当の女子生徒はそのことに気づいておらず、厄介な絡みを継続していく。

「惜しいですよ! そんなの! 強くてイケメンでー、絶対人気出るのに!」
「……そろそろうるせぇ」
「あ! 一つだけ注文するなら、愛想ですかねー? 他は完璧なので!」
「……はぁ」
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