相応しい淑女ではない、ですか。……確かにまぁ、私は淑女ではないですね。

四季

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相応しい淑女ではない、ですか。……確かにまぁ、私は淑女ではないですね。

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「お前は俺に相応しい淑女ではない!」

 ひげづらの婚約者アルカデラは布一枚だけをまとった状態でいきなりそんなことを言ってくる。

 あまりにも唐突な発言。
 こちらとしてはどう対応すれば良いものか掴めない。

 ちなみに今私たちは草原のど真ん中にいる。

 風が吹き抜けてゆくが、強すぎて、どうしても髪がばさばさになってしまう。お世辞にも快適とは言い難い状況だ。早くここから去りたい、そんな気持ちばかりが胸の内を巡っている。

「よって、婚約は破棄とする!」

 ――その時、突如、心臓がどくりと鳴る感覚に見舞われて。

『目覚めよ! 伝説の戦士、婚約破棄サレルーン!』

 意味不明な声が脳に響いたと思ったら。

「えええええー!?」

 急に身体が輝き出し、数秒で巨大ロボットへ変身。

『さぁ! 目の前の悪しき男を滅するのだ!』

 また声がして。

 直後胸もとにある銃口のような部分から虹色の光線が放たれた――それが地上にいるアルカデラを直撃する。

「ぐ、ぎゃああああ!!」

 小さな悲鳴が聞こえたような気がした。

 ――気づけば私は元の人間の女性の姿に戻っていた、のだが。

 その時にはアルカデラは消えていた。

「ま、いっか。どうせ婚約破棄になるんだったわけだし。……帰ろ」

 こうして私とアルカデラの縁は切れたのだった。


 ◆


 いくつ季節が過ぎていっただろう。
 もう数えられないほど。
 この手の内に収まらないほどの時が、季節が、草原を抜ける風のように過ぎ去った。

 そしてついにこの日がやって来たのだ――そう、私は今日嫁にいく。

 結婚相手はこの国の八割ほどの領土を管理している家の長男である青年、将来有望とされている男性だ。

 ――私はきっと幸せになってみせる!

 彼と共に、明るい未来へと行くのだ。


◆終わり◆
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