上 下
2 / 3

2話

しおりを挟む

 しかしウィニオスは退いてはくれず。

「そうか。――だが! だとしても俺はお前とはやっていけん! お前には幻滅したッ!!」

 たった一度で?
 それもにんにく料理を食べた後の匂いだけで?

 にんにく料理を食べなければ私は臭くないのに……。

「お前は女じゃない!!」

 それはさすがに酷すぎる……。

「もう二度と、俺の前に現れるな」

 こうして私は婚約破棄されたのだった。

「にんにくの匂いで婚約破棄された!? 何よそれ、どういうことよ、ウィニオスくん酷すぎるわ!」

 話を聞いた母は驚いて、それから。

「意味不明よね」
「ああそんな、こんなことになるなんて……わたしのせいだわ、お母さんがにんにく料理なんて作ったから……」

 驚きと共に悲しみのような色を面に浮かべる。

「ううん大丈夫。にんにく料理美味しかったし、美味しかったことの方が私にとっては大きなことだったし」

 何だか申し訳なくなって、フォローを入れた。

 だが嘘ではないのだ。
 実際、私としては、ウィニオスといることより美味しいにんにく料理を食べられることの方が嬉しいことなのである。

 美味しいものを食べたい、その欲に勝るものはない!

「そう……」
「ニーナ本当に好きよね、にんにく」
しおりを挟む

処理中です...