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後編

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 その後私は実家へは戻らなかった。
 とある友人に協力してもらい、別の国へ行った。

 そこで一人の男性に求婚され、やがて、私はその人と結ばれた。

 妹のいない世界は快適だった。
 これまで彼女にはいろんなものを奪われてきた、だからこそ、彼女のいないところで生きられるというのは非常に爽やかな気分だ。

 住み慣れていない街だなんてことはどうでもいい。それは時が解決してくれることだから。

 結婚して数年。
 私はかつて手を貸してくれた友人を通じて、ローウインと妹のその後について知った。

 妹は私が消えたこともあってローウインと結婚しようと考え話を進めていたそうなのだが、彼が密かに関係を持っていた他の女性が先に子を宿してしまったことでその話は消えてしまったそうだ。というのも、その子を宿した女性の親が「責任を取れ」と言い、娘とローウインの結婚を強制したのだった。そこまで進んでいなかった妹は何も言い返せず、結局ローウインとは離れることとなってしまったのである。

 その一件で心を病んだ妹は、今も自殺未遂を繰り返しているらしい。

 そしてローウインはというと。
 離婚はしていないが、相手女性とその親から定期的にお金を搾り取られ貯金も減って、悲しく生きているとのことだ。


◆終わり◆
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