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前編
しおりを挟む私には不思議な能力が備わっていた。
それが何かといえば――右腕が虹色に輝く宝石でできていてしかも破損しても無限に復活するという能力。
明らかに人間ではない、そのような能力で。
見ただけで分かる特徴であるということもあって、時にからかわれたり気味が悪いと言われたり呪われていると言われ避けられたりと、何とも言えないような心ない対応をされることもあった。
それでも母だけは私の味方だった。
実の父すらも気味が悪いと私を避けていた。
にもかかわらず母は愛してくれた。
そしてどんな時も何を言われた時も味方として傍に立って護ってくれていたのだった。
「貴様のその腕、正体不明の怪しい鉱石で金にもならん。金になるかと思って貴様を選んだが、どうやら貴様は稼ぐことすらもできぬ出来損ないのようだ。よって! 婚約は破棄とする!」
婚約者オージーにそんな風に言われ捨てられた時でさえ、母は傍にいて寄り添ってくれていた。
そして言ってくれた。
――貴女には価値がある、だから大丈夫、いつかきっと分かってくれる人に出会える。
そんな風に。
それが何よりもの救いだった。
ただ一つの救済。
ただ一つの希望。
皆から心ない部分を向けられている私にとっては、母こそが唯一だったのだ。
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