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前編
しおりを挟むかつて私たちは愛し合っていた。
そう、特別な二人だったのだ。
「君とずっと一緒にいられるといいな」
「ええそうね」
「実際君はどう思っているんだい? 婚約はしてくれたけれど……君は本当に僕を愛しているのかい?」
「もちろんよ、貴方だけを愛しているわ」
「はは、なら良かった」
世界には二人しかいない。
そう感じるほどに近い距離だった私とルーメン。
私たちにとってはお互いが特別な唯一であったのだ。
「愛しているわ、ルーメン。いつまでも。たとえどれだけ時が経ったとしても――それでも私にとっての唯一は貴方だけよ」
「ああ嬉しいよ。僕だって同じさ。今君だけを見つめているように、きっと、死ぬまで君だけを想っていることだろう」
指を絡めるだけで心の奥深くまでが溶けあう。
そんな時間が何よりも愛おしくて。
私たちは永遠に愛し合えるのだと信じていた――その時はまだ、純粋に。
――でも、それは永遠ではなかった。
「アリサ、君が一番だよ」
「うふふぅありがとぉルーメン、あたしもぉ、あなたを愛しているわぁ」
「ああ可愛いアリサ」
「そう言ってもらえると身も心も溶けちゃうわぁ」
婚約したまま迎えた夏のある日、私はたまたま街中で目撃してしまった――ルーメンが知らない女と二人で行動しているところを。
しかもルーメンはその女性の腹の肉を揉んでいた。
取り敢えずその様子を写真に収めておく。
証拠として使えるかもしれないから。
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******
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