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3話
しおりを挟む「お願い! 離婚はやめて! 離婚だけはっ……そ、そうだ、お金! お金払うから! だからどうかやめてっ……お願いします!」
「ごめんなさい、もう無理。さようなら」
「お願いします! 離婚しないでください! 一緒にいてください! 本当は貴女を愛しています! 誰よりも! だからどうか、どうか、離婚しないでくださいそれだけは許してください!」
彼は色々言っていたけれど、私は別れることを決めた。
その後。
「ねぇねぇ聞いた? ウィルクスさんって、奥さんいるのに他の女と遊んでて離婚されたんだってぇ」
「捨てられたってコト?」
「そうそう! それ!」
「ええ~。でもまぁきっと酷いことしたんだろうね」
職場にこの話が広がり。
「他の女ととかないわ、最悪」
「そのようなこと、あり得ませんよね。酷いですよね。わたくしだったら絶対に許せなかったと思います」
「サイッテー!」
「美人の奥さんいるのに女好きとかきっつ」
ウィルクスは周囲から色々言われるようになり、居場所を失った。
そして徐々に休みがちになっていって。
やがて退職した。
「ウィルクスさん、辞めるみたいですね」
「ふ~ん。ま、でも、いいんじゃね?」
「女関係でやらかした人の顔なんてみたくないですしねぇ」
でも誰にも祝われず。
お疲れ様、さえも言われず。
寂しい退職となった。
その後、彼は、あの女性からも振られたようだった。
何でも、ウィルクスが仕事を辞めたことを知ると女性はウィルクスへの愛を失ったようで。
結局ウィルクスは何一つ手に入れられなかったようだ。
◆
あれから数年、私は今も働いている。
が、もうすぐ退職する。
良い人との結婚が決まったからである。
「もうすぐ退職ですね!」
「え、ええ……そうなんですよ」
「結婚ですよね~、羨ましいなぁ~」
「そんな」
「今度こそ! 幸せになってくださいね!」
二度目の結婚だけれど、今度こそ絶対に幸せになってみせる。
「今までお世話になりました!」
◆終わり◆
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