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前編
しおりを挟む婚約者のいとこの子と滑り台で遊んでいたら。
「お前! 何やってんだ! いい年した女だというのに滑り台なんかして!」
婚約者エッヘルからそんな風に責められてしまった。
「何、って……この子と一緒に遊んでいたのですよ」
「恥ずかしい!」
驚いたことに、説明しても一切聞いてもらえなかった。
多分彼は私の意見を聞く気なんてちっともないのだろう。
「エッヘルさんが『一緒に遊んでやって』と仰ったのではないですか」
「恥ずかし過ぎるッ!!」
「ええ……」
「婚約者が滑り台で遊んでいるなんて……最低だ! 恥だ! そんなみっともない女は絶対に無理だ! よって、婚約は破棄とするッ!!」
どうやらエッヘルは私を責めたいだけのようだ。
「酷いですよ急に……」
「はぁ? 何だと? 生意気なことを言いやがって!」
あまりにも理不尽で引いてしまう。
だっておかしいだろう。
いきなりそんなことを言い出すなんて。
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