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後編
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「貴女、フレンダさんと仰るそうね」
「……はい」
当然、怒っているのは父親だけではない。
母親もまた怒っている。
「どうしてそんな態度なの?」
「あたし、悪いことしてないです。アインズ様と少し仲良くしていただけです」
「彼には婚約がいたのよ?」
「……関係ないです、そんなの。あたしは愛されてますから」
アインズは若干後悔していた。フロマンジェと過ごしておけば良かった、と。たとえ辛くてもフロマンジェと過ごしていれば良かった、そんな風に思うけれど、もはや手遅れだ。
一方、フレンダはというと、アインズと関係を持っていたことを悪く思ってはいなかった。むしろ、自分の方が愛されているのだから仕方ない、くらいに考えているようで。謝罪する気などまったくないようだった。
◆
その後、アインズとフロマンジェの婚約は破棄された。
アインズには慰謝料の支払いが求められることとなる。額も小さくはなかった。アインズとその親は支払った。断ったらどんな罰を与えられるか分からないから、である。ただ、その支払いによってアインズの家は所持金の多くを失い、領地経営など到底できないような状態になってしまった。
アインズの家は領地持ちをやめる。
そして、アインズとその父親は、布工場に勤めるようになった。
慰謝料の支払いはアインズだけが求められたわけではない。フレンダとその家にも支払いが命じられた。婚約破棄の原因を作った一人、ということで。
しかしフレンダは支払いを拒否。
その結果、フレンダの家も領地持ちの資格を奪われた。
また、資産の一部を差し押さえられ、フレンダの父親が持っている色々な高級品も没収されることとなってしまった。家くらいは残ったけれど。
婚約を壊したという話が出ていることもあって近隣の人たちと気まずくなり、フレンダ一家はやがて、遠くへ引っ越していった。
その後、フロマンジェは、同じような身分の異性と結婚。
幸せに暮らした。
◆終わり◆
「……はい」
当然、怒っているのは父親だけではない。
母親もまた怒っている。
「どうしてそんな態度なの?」
「あたし、悪いことしてないです。アインズ様と少し仲良くしていただけです」
「彼には婚約がいたのよ?」
「……関係ないです、そんなの。あたしは愛されてますから」
アインズは若干後悔していた。フロマンジェと過ごしておけば良かった、と。たとえ辛くてもフロマンジェと過ごしていれば良かった、そんな風に思うけれど、もはや手遅れだ。
一方、フレンダはというと、アインズと関係を持っていたことを悪く思ってはいなかった。むしろ、自分の方が愛されているのだから仕方ない、くらいに考えているようで。謝罪する気などまったくないようだった。
◆
その後、アインズとフロマンジェの婚約は破棄された。
アインズには慰謝料の支払いが求められることとなる。額も小さくはなかった。アインズとその親は支払った。断ったらどんな罰を与えられるか分からないから、である。ただ、その支払いによってアインズの家は所持金の多くを失い、領地経営など到底できないような状態になってしまった。
アインズの家は領地持ちをやめる。
そして、アインズとその父親は、布工場に勤めるようになった。
慰謝料の支払いはアインズだけが求められたわけではない。フレンダとその家にも支払いが命じられた。婚約破棄の原因を作った一人、ということで。
しかしフレンダは支払いを拒否。
その結果、フレンダの家も領地持ちの資格を奪われた。
また、資産の一部を差し押さえられ、フレンダの父親が持っている色々な高級品も没収されることとなってしまった。家くらいは残ったけれど。
婚約を壊したという話が出ていることもあって近隣の人たちと気まずくなり、フレンダ一家はやがて、遠くへ引っ越していった。
その後、フロマンジェは、同じような身分の異性と結婚。
幸せに暮らした。
◆終わり◆
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