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3話
しおりを挟む四女、一つ年下の妹には、ずっと前から婚約しようと誓い合っていた男の子がいる。
しかし彼女はその子の現在の仕事に満足していなかった。
というのも彼は洗濯屋の息子で家業を継いだのだ。
洗濯屋、それは当然くだらない仕事ではない。
多くの人を救っている職業だ。
ただ、プライドの高い四女にとっては良い仕事であるとは思えなかったようで、たびたび「子どものうちにあんな誓い立てなきゃ良かった」と愚痴を言っていた。
そんな彼女はある時「お姉さまが呼んでいる」と嘘を言ってミッドネンを呼び出し「お茶をしたい」と言って彼を無理矢理喫茶店へと連れ込んだ――だがそこを婚約者の彼に目撃されてしまったために、婚約破棄され、さらに罰として尻叩き百回の刑に処されることとなった。
大衆の前で尻を叩かれた四女はその屈辱に耐えられなくなり、ある日突然奇声を発しながら崖から飛び降りた。
華のようだった四女だが、独り寂しくあの世へ逝ったのである。
そして五人姉妹の一番下、五女、彼女は私とミッドネンの結婚式が執り行われる前日に会場に火をつけようとしていてその不審な行動を発見されてしまい現行犯逮捕された。
そんな彼女は。
牢屋送りとなった後も態度からまったくもって反省が見られなかったために最終的には処刑されるに至ったそうだ。
こうして五人姉妹の中では私だけが生き残った。
「ミリーさん、お姉さまや妹さんが亡くなられて……寂しいですか?」
結婚後のある日、ミッドネンが唐突にそんなことを尋ねてきた。
「いいえ」
答えはすぐに出た。
重ねるように、首を横に振る。
「そうですか」
「彼女らは私にとって良き味方ではありませんでした」
「……そうなのです?」
「火をつけようとした五女を見れば分かるでしょう」
言えば、ミッドネンは静かに俯く。
「まぁ確かにそれは……恐ろしいことですし、ちょっと、酷い人だなと思ってしまいますね」
「皆、そういう人たちです」
「四人とも、ですか?」
「ええ、ほぼそうです。私をずっと見下してきて、私が良き人と出会えば悪口ばかり言ってきて――良い思い出などありません」
私は生きてゆく。
愛しい人ミッドネンと共に。
◆終わり◆
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