異世界恋愛短編集 ~婚約破棄されても前を向いて生きてゆくのです~

四季

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とても寒い日のこと、唐突にやって来た婚約者から告げられたのは……?

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 一年の中でも最も寒い日が続く時期のこと。
 自宅にて温かくして過ごしていたら。
 日頃あまり関わってこないそっけない系婚約者の彼ルイーダンが唐突に訪問してきた。

「やあ」
「……ルイーダンさん! お久しぶりです」
「急に来てしまってごめんな」
「いえいえ」

 意外な展開に内心戸惑っていたところ。

「実は、話があって」

 そんな風に切り出されて。

「君との婚約なんだけど、破棄することにしたんだ」

 告げられたのは、関係の終わり。

「急に伝えることになってごめん」
「いえ……ですがまたどうして」
「君と生きても楽しくなさそうで、これからどうなるんだろうって不安になってたんだ。そんな時とても魅力的な女性に出会って。それで僕はその人と生きたくなったんだ」

 彼は正直だった。

「だから君とは終わりにするしかないんだよ」
「それはそうですよね……」
「うん。だからさ、君との関係は終わりにするよ。今までありがとう。じゃあね、ばいばい」

 そんな感じで、私たちの関係は突如終わりを迎えてしまったのだった。

 まさかこんなことになるなんて……。
 いきなり婚約破棄されるだなんて……。

 だが、現実的な話をするなら、そうなってしまったものは仕方ない。

 彼の決定を変える力は私にはない。
 なら私はどうすべきか。
 ここは取り敢えず、流れに抗う以外の道を考えるべきだろう。

 流れに抗うことはせず、より良い未来への第一歩を踏み出したい。私が私らしい生き方をできる道を模索していきたい。


 ◆


 あれから三年半。

 私は王都で花屋を経営すると同時に気の合う男性と結婚した。

 日々忙しい。けれども充実感もある。周囲に支えてもらえる環境ということもあって、何とか回っている。忙しいけれど楽しさもある、そんな日常を歩むことができている。

 今はやりたいことができてとても幸せ。
 だからこれからもこんな風に歩んでいきたい。

 愛してくれて愛せる人と隣り合っていたいし、自分のやる気を存分に活かせる仕事に打ち込んでいきたい――それが私の望み。

 ちなみにルイーダンはというと、あの後女性に接待してもらうお酒のお店に通うことにハマり、その結果借金王となってしまったようだ。
 今は借金取りから逃げ回りつつそういうお店に通っているのだとか。
 噂によれば、彼はそういうお店に行かないと日に日に正気を失ってくるという非常に不安定な精神状態になってしまっているのだそうだ。

 ……恐らく、だが。

 彼はきっとこの先まともな道へ戻ることはできないだろう。


◆終わり◆
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