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前編

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「お前みたいな女と一緒に生きるなんぞ、ぜーったいにごめんだ! よって、婚約は破棄とする!」

 ある日のこと、私は急にそんなことを告げられてしまった。

 べつに何かをやらかしたわけではない。喧嘩をしたわけでもない。私は昨日まで普通にしていたし、彼も特に何でもないように振る舞っていた。

 それだけに不思議さはあったけれど。

 でも私はそれを受け入れることにした。
 ややこしいことになるのは嫌だったから。

「そうですか。分かりました。では、私はこれで失礼させていただきます。……ではさようなら」
「あぁ、じゃあな。永遠にバイバイだな」

 いちいち言葉選びが鬱陶しいが、まぁ、これで他人になるのだしどうでもいい。
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