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後編
しおりを挟む「本当にそうなの?」
「何だよ、疑うのかよ」
「じゃあこれは……」
まずは二人で写っている写真を出す。
「これは、一体何かしら」
その写真は、二人がいかがわしい建物に入っていっている場面だ。
「こ……これ、は……」
「知り合いとこういうところに入るものかしら」
「違う! これは! リリアが体調が悪くなって、それで――」
「そう。でもこういうこともしているのよね」
次は、路上でいちゃつく二人の写真。
私にはまったくもって理解できないのだが。
プルトネスとリリアは恥ずかしげもなく路上で腕や脚を絡め合っていることもあったようなのだ。
なぜそんなことができるのか不思議でしかないが。
「なっ……なぜそれを……!?」
「嘘をついたならそう認めなさい」
「ご、誤解だ!」
「真実があるというの?」
「これはたまたま向こうがこういうことをしてきて――」
「そう。でも一回じゃないでしょう」
似たような写真は複数ある。
それも日が異なる写真だ。
一回だけの出来事、そう言うのは無理がある。
「これも、これも、これも……そういうことしているわよね?」
そこまで言うと。
プルトネスはついに己の行いを認めた。
「だ、だが! すべてはあんたのせいだろ! あんたが地味女で無理な感じのやつだからこんなことをするしかなかったんだ!」
「随分身勝手ね」
「あんたがもっと美しければ! あんなことをすることにはならなかった! 浮気は女のせいだと言うだろう、その通りなんだよ。あんたが地味だから、あんたがぱっとしないから、全部あんたのせいなんだよ!」
刹那、父がテーブルを強く叩いた。
「プルトネスくん、いい加減にしたまえ」
父は本格的に怒っていた。
「我が娘にそのようなことを言うとは、最悪な男だ」
そうね、と、母も冷ややかな視線を向けている。
「よって、離婚とする」
「え」
「君の行いによる離婚だ、いいな?」
「ま、待ってくださ――」
「ではこれにて。娘は連れて帰るよ」
こうして離婚になった。
手続きは父が協力してくれたので無事完了した。
そして。
浮気の償い、ということで、多くはないがお金を貰うことができた。
プルトネスはその後浮気して離婚された男として有名になってしまい、ことあるごとに皆からひそひそ話をされるようになり、それによって一人で家の外を歩くことができなくなってしまったそうだ。
あれ以降、ずっと家にこもっているらしい。
◆
あれから数年、私は行きつけの喫茶店の常連客であった資産家の青年と結婚した。
紅茶を楽しむという共通の趣味があって。
そのため一度関わり始めるとすぐに仲良くなれたのだ。
◆終わり◆
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