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前編

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「わたしねぇ、いつかきっと、幸せなお嫁さんになるんだぁ」

 そう、それは幼い頃の自分。

 私はかつてお嫁さんなるものに憧れていた。母から結婚後の生活の良い話を聞いていて影響もあるだろうが。愛する人と一緒に生きてゆく、そんな未来に希望を抱き憧れていた。

 ――だが現実は厳しい。

「もっと良い人が見つかってそっちの方がいいからって……婚約破棄された」

 これで二度目の婚約破棄だ。

 私は異性の引きが非常に悪い。
 自分が馬鹿だからかもしれないけれど。

 いつも大抵途中までは上手くいくのだ。しかしどこかで関係が冷えてきてしまう。そしてどこまで進んでいたとしても終わってしまうのだ。

「え!? そうなの!?」

 母にはいつもすべて話している。
 だから母は私のこれまでの経験についても全部知っている。

「うん……また。なんかごめん、母さん」
「いいのよべつに。でも、大丈夫?」
「うん大丈夫……けど、やっぱり駄目だなぁ私」

 私には結婚は向いていないのだろうか。
 時折そんなことを思ってしまう。
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