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後編

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「そうだ、ねぇ、ちょっと気分転換に魔法学校とか行ってみない?」
「え」
「どうかしら」
「母さん? 何を言い出すの?」
「今度開校するらしいのよ、知り合いが校長で。ね、どう? ちょっとだけでも行ってみない? 気分も変わるかもしれないし」

 はじめはよく分からなかったけれど。

「そう……ね、そうする。きっと才能なんてないと思うけど、でも、ちょっとだけ行ってみようかな」

 少しして、入学することに決めた。

「いいわね! じゃあその方向で伝えておくわ!」

 その後色々準備をして、私は、新しく立ち上げられた魔法学校に入学した。


 ◆


 あれから五年。

 魔法学校をベストテンくらいの成績で卒業することができた私は、エリートが入るとされている王国の魔法兵部隊に入ることができた。そしてそこでこつこつと努力を重ね、ある年には優秀賞を受賞することもできたくらいだった。

 私にしては頑張った方ではないだろうか。

 ……自分で言うのも少々変ではあるけれど。

 ちなみに、先日貴族の青年から求婚を受けた。入学以降初めてのことだった。ただ、色々順調で。今は徐々に彼との結婚の話が進んできているところだ。

 私は彼のことをそこそこ気に入っているし、彼もまた私を気に入ってくれている。

 今、二人の心は通じ合っている。

『わたしねぇ、いつかきっと、幸せなお嫁さんになるんだぁ』

 幼き日の夢――いつか叶うと良いのだが。

 いつか望み叶う日を夢みて。
 今はただ歩もう。
 そして、その先に明るい未来があると信じよう。

 ちなみに最近は果物狩りにはまっている。これは、ゆくゆく結婚する予定の彼が教えてくれた趣味だ。数回目に会った時、彼が果物狩りに連れていってくれた。で、私はその楽しさに魅了されたのである。


◆終わり◆
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