私を連れ出してくれる勇者はあなたです

四季

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前編

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 私、アナベルは、帽子屋の一人娘としてこの世に生まれ落ちた。

 家はそれなりに裕福で、そこそこ幸せに暮らしてきた方だとは思う。もちろん、苦労がなかったわけではないけれど。でも、その日の食べ物を手に入れるために盗みを働かなくてはならないような人たちに比べれば、苦労していなかったと言えるだろう。

 そんな私には想い人がいる。

 小さい頃に何度か遊んだ男性。名ははっきりと覚えていないけれど、私は実は、彼のことを特別な存在としていまだに胸に置いているのだ。

 でも、私には、彼と結ばれる道はないのだろう。

 そう諦めさせたのは、婚約者ができたから。

 親が紹介してくれた婚約者、名はクロウドというけれど、私は彼と婚約することとなった。そして、婚約の段階から、彼の家に住むこととなったのだ。

 仕方ないこと。

 でも、胸が痛い。


 ◆


 私はクロウドと同居し始めた。が、いきなり大きな問題が発生してしまう。というのも、私はどうやらクロウドの母親に嫌われているようなのだ。彼女はことあるごとに嫌みを吐いてくる。

 嫌われたきっかけは分からない。
 ただ、彼女が私を嫌っていることだけは確かだ。

 クロウドの母親はとても美しい人。そして、見た感じは、とても優しそうだった。だから、最初は気まずくても、段々仲良くなってゆけるものと信じていた。いや、迷いなくそう思っていた。

 けれども無理だった。
 日を重ねれば重ねるほど、彼女は私を嫌うようになっていく。

 どうすればいいの?

 どうすれば仲良くなれるの?

 私も彼女のことが嫌いだったら、その方が楽だったかもしれない。嫌われて、嫌みを吐かれて、こんなに辛くなるのは……仲良くなれる可能性を模索しようとしてしまうからなのだろう。

 クロウドも自分の母親の味方ばかりする。

 ただ疲弊していくことしかできない。
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