魔法の才を過剰に嫌っていた彼は幸せにはなれなかったようです。~そんなに嫌がることないのに、と思います~

四季

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後編

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 ◆


 あれから数年。

 魔法を使えない女性と結婚したアロモスは二児の父となったが、二児共に魔法が使えることが発覚。それによってアロモスは親から心ないことをあれこれ言われて。その果てに、彼は、二人の子の父親であることを放棄したそうだ。一方的に離婚し、子とも縁を切ったのだとか。

 なんて心ない人……。

 もし私と彼が結婚していたら、もしかしたらそんな風になっていたのかもしれない――そう考える時、あそこで別れておいて良かった、と思う私がいる。

 アロモスの奥さんは今、極貧の中で、二人の子を懸命に育てているのだそう。

 心ない人に捕まらなければきっと幸せになれただろうに、気の毒ね。

 そう声をかけたい気分である。

 ……もっとも、本当に声をかけはしないけれど。

 ちなみに私は王子ハルカースと良い感じになっている。

 彼は私の魔法の才についても知ったうえで仲良くしてくれているから、きっと、魔法のことだけで私を捨てたりはしないと思う。


 ◆


 婚約破棄から八年、王子ハルカースからプロポーズを受け、私は彼と結婚した。

 今は城に住んでいる。
 困ったことは何もない。

 その身分ゆえの忙しさもあることはあるのだけれど、とても楽しい毎日だ。

 そうそう、そういえば。

 アロモスはあの後再婚するもまた魔法が使える子が生まれてしまい身勝手に離婚し、その直後、怒ったその結婚相手に木材で殴られて死亡してしまったそうだ。

 愚かというか何というか……。

 言葉が出ない。


◆終わり◆
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