婚約者から女性を紹介されたうえ婚約破棄宣言されるだなんて、疲れてしまいます。～結果的に幸せになるのが誰かなんて分からないものですね～

２話

「リューシャの好きなやつ、このお茶。ね？　ここに置いておくから、飲んで？」
「あ、うん、ありがとう」
「こういうとちょっと失礼かもしれないけれど、辛いことばかり考えなくていいのよ？　……楽しいこととか、関係ない別のこととか、そういうことに意識を向けてみるっていうのも一つかもしれないわ」
「そうだね」
「じゃ、また来るわね」
「ありがとう」

　美味しいお茶、喉を通ってゆく感覚だけでもとても心地よい。

　恵まれてるなぁ私。
　今さらそんなことを思ったり。

　取り敢えず今は穏やかに過ごそう、それが癒しとなり明日への活力となってくれるはずだから。


　◆


　あの後オーデンは言っていた通りあの女性と結婚したそうだ。

　周囲もびっくりのスピード婚だったそうで。
　結婚式の開催は小規模なものであったそうだ。

　だが、そこまでして結ばれた二人だが、その後はあまり良くないものだったようで。

　二人は夫婦になるや否や毎晩のように大喧嘩をするようになったそうで。
　近所の人たちは「あの夫婦何？　凄くない？」「夜中まで物凄い叫び声が聞こえていたわ」などと言っていたよう。
　彼らは地域でも有名な喧嘩の激しい夫婦となったみたいだ。
　また、二人の間に愛はなく、彼らは昼間もそっけなくまともなやり取りすらしないような状況だそうだ。