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4話
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ここまでだ!
私はもう耐えられなかった。
父にこれまでのことをすべて話してから、私は家を出た。
王都に住んでいる同性の友人がいたのでその人と連絡を取り、合流して、先のことは考えず王都で暮らし始める。
「大変だったねぇ、お母さんの件」
「ほんとよ! 婚約破棄されたわ! もう泣きそう……」
「でもさ、大丈夫、きっともっと良い縁があるよ」
「ありがとう……」
友人に励ましてもらって、涙がこぼれる。
初めて味方ができた気がした。
それからの毎日は楽しかった。母に当たり散らされることはないし、理不尽に怒られることもない。何よりも、のびのびと生活できる。何もかもが新鮮で、楽しく、嬉しかった。家を出た寂しさは想像していたよりもなくて。むしろ解放感によって心が満たされていた。
その後私は行きつけの喫茶店にて店員と客として出会った青年と結婚。
平穏な日常を手に入れた。
実家にいた、母に心を支配されていた、あの頃はもう幻のようだ。
既に遠くていって消えた。
今はもうあの女による支配はない。
ちなみに母はというと、あの後父とは離婚したそうだ。
何でも、これまでの私への行いを知った父から離婚を切り出されたそうで、母は拒否するもそのまま離婚となったのだそう。
ただそれでも母はあの家に居座って、居場所を失わないよう無理矢理な行動をとっていたとか。
しかし今度は不機嫌な時近所の人に当たり散らすようになり、それによって近所の人から「あの人ちょっと……」とか「娘さんが出ていくのも当然よね」とか言われるようになり、次第に仲間外れにされるようになっていって。
その結果、母はあの家から出ていかざるを得なくなったのだそうだ。
以降はあの家には父が住むこととなったそうで、母の行方は定かでない。
ただ、ある時友人が「お母さん、物乞いして通行人に蹴られてたよ」と目撃情報をくれたことがあったので、まぁそんな感じで生きていったのだろう。
きっと孤独な人生だっただろうな。
そう思う時、私は少し笑みをこぼしてしまう。
悪いことだろうか? そうかもしれない。善良な色ではないかもしれない。けれどもしそうだとしてもこの心の動きは簡単に止められるものではない。これは自然な感情、そうだろう? 仕方ないのだ、虐げられてきたのだから。私も人間で、清らかな神や天使ではない。だから時に黒い感情を抱くことだってある。
◆終わり◆
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