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しおりを挟む「じゃあね、さようならアリスさん。短期間だったけど、今までありがとう」
引き留めようとして、伸ばしかけた手を縮める。
そうだ、母は変な人なんだ……。
分かっていた。
気づいていた。
彼女はおかしいと。
でもそれを見て見ぬふりして、耐えるだけでここまで生きてきた。
……私にも責任はあるのかもしれない。
そう思った時、オズネルを引き留める行動なんてできるはずもなくて。
「そうだ、仕方ない……彼は間違ってないんだもの……」
ただ辛かった。
でも彼の気持ちは分かる、だから彼に非があるとも言えなかった。
すべて壊れてしまった。
それはとてつもない傷を負わせた。
――なんて言ったら悲劇のヒロインぶっていると馬鹿にされるかもしれない、いや、他人から見ればそう見えてしまうだろう。
でも実際、胸は痛んでいるのだ。
私はどうすればいいの……。
このまま何もかも諦めて生きてゆくしかないの……。
その後母にそのことについて意見を言ったところ、「良かったでしょ、あんな平民と結婚しなくて」とか「あんたのために切り落としてあげたのよ」とか言われるだけで。
母はまったくもって私の気持ちを理解していないようだった。
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