情緒不安定で不機嫌になるとやたらと当たり散らしてくる母とは離れ、幸せに生きていきます! ~娘だって人間なんです、サンドバッグはもう嫌です~

四季

文字の大きさ
2 / 4

2話

しおりを挟む

 やたらと振り回してくる情緒不安定母の機嫌を取りながら生きるだけの暮らし――それは呆れるほど虚しいもので、でも、機嫌が良い時の母とは仲良くできるのでその瞬間の記憶だけを頼りに一人心を守りながら生きていたのである。

 ――そんなある冬の日、婚約希望者が現れた。

 彼の名はオズネル。
 親は会社員で、平民の家の子だった。

 私は彼と婚約した。

 もうそういうことが発生しても問題ない年齢だったからだ。

 これまでは母に縛られていた。
 でもこれをきっかけに少し距離を取れるかもしれない。

 そう思うと嬉しくて。

 希望を抱いていたのだけれど――オズネルとの関係はある日突然壊れてしまうこととなる。

「きみのお母さん、情緒やばいね」
「え……」

 知っている、そんなことは。

 しかし彼がそのことを知っているとは思わなかったので驚いた。

「なんかさ、この前急に電話かけてきてさ。滅茶苦茶なこと言われたんだよ。ぼろくそに。きみのことも悪く言ってたけど、ぼくのことも悪く言われて、あまり良い気はしなかったな」
「ど、どうしてそんな……私、知らないわ……」
「勝手な行動だったのかな?」
「そうよ、絶対、そうだわ」
「けど、あんなお母さんと上手くやっていけるとは思えないよ」
「……ごめんなさい」
「だからきみに非はないけど……ごめんねアリスさん、ぼく、きみとの婚約は破棄することにしたから」

 脳内に凄まじい雷鳴が響く。

 何もかもが白く飛んでしまった。
 まともな思考はできない。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

結婚するので姉様は出ていってもらえますか?

基本二度寝
恋愛
聖女の誕生に国全体が沸き立った。 気を良くした国王は貴族に前祝いと様々な物を与えた。 そして底辺貴族の我が男爵家にも贈り物を下さった。 家族で仲良く住むようにと賜ったのは古い神殿を改装した石造りの屋敷は小さな城のようでもあった。 そして妹の婚約まで決まった。 特別仲が悪いと思っていなかった妹から向けられた言葉は。 ※番外編追加するかもしれません。しないかもしれません。 ※えろが追加される場合はr−18に変更します。

婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました

kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」 王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。

妻を蔑ろにしていた結果。

下菊みこと
恋愛
愚かな夫が自業自得で後悔するだけ。妻は結果に満足しています。 主人公は愛人を囲っていた。愛人曰く妻は彼女に嫌がらせをしているらしい。そんな性悪な妻が、屋敷の最上階から身投げしようとしていると報告されて急いで妻のもとへ行く。 小説家になろう様でも投稿しています。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

王族に婚約破棄させたらそりゃそうなるよね? ……って話

ノ木瀬 優
恋愛
ぽっと出のヒロインが王族に婚約破棄させたらこうなるんじゃないかなって話を書いてみました。 完全に勢いで書いた話ですので、お気軽に読んで頂けたらなと思います。

今さら泣きついても遅いので、どうかお静かに。

有賀冬馬
恋愛
「平民のくせに」「トロくて邪魔だ」──そう言われ続けてきた王宮の雑用係。地味で目立たない私のことなんて、誰も気にかけなかった。 特に伯爵令嬢のルナは、私の幸せを邪魔することばかり考えていた。 けれど、ある夜、怪我をした青年を助けたことで、私の運命は大きく動き出す。 彼の正体は、なんとこの国の若き国王陛下! 「君は私の光だ」と、陛下は私を誰よりも大切にしてくれる。 私を虐げ、利用した貴族たちは、今、悔し涙を流している。

側妃契約は満了しました。

夢草 蝶
恋愛
 婚約者である王太子から、別の女性を正妃にするから、側妃となって自分達の仕事をしろ。  そのような申し出を受け入れてから、五年の時が経ちました。

処理中です...