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3話
しおりを挟む当然、ここにいる苦労もある。王子の妻となった以上色々なことを学ばなくてはならない、それゆえの大変さだって確かにあって。けれども、家でエルヴィリアに虐げられていた日々に比べれば、ここでの苦労はたいしたものではない。可愛い程度の苦労、そう言える程度のものでしかない。
ちなみに父とエルヴィリアは後に離婚した。
父は、私と王子が結婚する直前になってようやくエルヴィリアが私を虐げていたことを知ったそうで、それからエルヴィリアに良い感情を抱けなくなったのだそう。
で、やがて縁を切ることを選んだのだそうだ。
もちろんエルヴィリアは粘りに粘ったようだが、最終的にはなすすべがなくなり、そのまま離婚とされてしまったらしい。
……ま、自業自得なのだが。
ただ、罪があるのはエルヴィリアだけではないと、私はそう思っている。父もまたある意味悪質だった。なんせずっと娘を見ないままできたのだから。新しい妻が娘に何をしているかすら知ろうともせずに生きているなんて身勝手にもほどがある。
けれど、もう、何だっていい。
私は幸せになれた。
その事実は変わらない。
だからそれでいい。
これからは明るい未来を見据えて生きてゆくのだ。
「そういえばさ、エルヴィリアさん、亡くなったみたいだよ」
「えっ、そうなの!?」
「過激派組織に入ってたの知ってる?」
「知らないわ……」
「なんかさ、そこでテロに加担したらしくて」
「ええっ……」
父に捨てられ荒れていたのかもしれない。
結局愛されなかったのはエルヴィリアのほうだった、それが現実だ。
「で、テロの時に、自分も巻き込まれて……」
「それで亡くなったのね?」
「そう、そういうことみたい」
「へえ……そうだったの……」
「僕も今日知ったんだけどね」
「正直驚いたわ。意外な最期ね、テロで自滅なんて」
「びっくりだよね」
◆終わり◆
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