上 下
1 / 2

前編

しおりを挟む

「将来結婚しような!」
「うん!」
「一緒に生きていこうな!」
「そうだね!」

 幼い頃、仲良しだった私とリックは、いつもそんなことを話していた。

 もちろん子ども同士の会話。だから深い意味はなかったと思う。けれどもお互い言葉に偽りはなく。私たちは共に、輝かしい未来を見つめ、想っていた。

 あの頃は良かった。

 何でも楽しかった。

 輝く未来を夢みて。
 彼と歩めたらと迷いなく思っていた。


 ◆


 あれから数年、私とリックは婚約したのだけれど、それから少しして彼の様子がおかしくなって……。

「最近リック一人の外出多くない?」
「そうか?」
「なんかさ、前はもうちょっと少なかったよね」
「そうかなぁ、こんなものだと思うけど」
「いやいやそれはないって。何か変わったことでもあった?」
「うーん、特にないかなぁ」

 しかし、知人を通じて、リックの浮気が発覚。

 しかも浮気なんて生温いものではなかった!

 二人であって遊ぶ、なんてものじゃない。
 もっと一線を越えたところまでいっていたのだ。

 一度気にし始めると不自然な情報は次々に出てきて……。

 こうなったら仕方ない。
 もう見て見ぬふりはせず戦おう。

 ――そう心を決めて。

 証拠を厚め、それを突きつけてみることに。
しおりを挟む

処理中です...