どんな時でも愛する夫と共に穏やかに生きていたいのです。~かつて傷つけられ捨てられた者同士くっついて幸せに暮らします~

四季

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後編

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「――ごめんお待たせ! できたよ!」
「ありがとう」
「悪かったから、今日も僕が当番するよ」
「それは結構よ」
「えっ、どうして!?」
「だって、そういうことしたら、決めていたのが全部変わってきてしまうでしょう?」
「そ、それは……まぁ、そうかも、だけど……」
「だから次からきちんとしてもらえればそれでいいわ」
「分かったよ、気をつける」

 ちなみに、私の元婚約者は、今自分の家より偉い地位の家の女性と結婚し女性の親と同居させられているそうで――人権がないと言っても過言ではないほどこき使われ虐げられているそうだ。

 女性の実家で虐げられる男性、というのは、あまり見かけない構図だ。

 でも彼にはお似合いだと思う。

 だって他者を軽く無能なんて言うような人だもの、心がないのよ。そういう人は一度自分がされる側になってみればいい。そうすれば少しは痛みも分かるでしょう。それで変わるとは思えないけれど、でも、少し傷つけられてみれば少しくらいは辛さが分かるはず。

 だから精々そういう思いをさせられればいい。

 私はそう思っている。

 一方ジュリオスの元婚約者の女性はというと、あの後王子に恋をし結婚したいと公言するまでになるも遊ぶだけ遊ばれて捨てられたそうだ。

 で、絶望して、心が壊れてしまったようで。

 女性は情緒不安定になっていったようだ。

 そして、その果てに、彼女は王子のもとへ行って「わたしを選ばないのなら、あなたを殺してから死ぬわ!」と脅したそうで――それによって拘束されてしまい、後日処刑されたそうだ。

 かつて私たちを傷つけた者たちは闇へと堕ちていったのである。

 ……もはや無関係だしどうでもいいことなのだが。

「ジュリオス、サンドイッチ作ってみたわ」
「サンドイッチ!?」
「好きでしょう」
「うんうん好き好き! 大好き!」
「良かった。五つくらいいろんな物を挟んで作ってみたから、ね? 食べてみて。気に入るものがあればいいんだけど」
「サンドイッチ大好き! 前もとっても美味しかったしね。具なんてどんなものでもいいんだ、何だって好きだよ」


◆終わり◆
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