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4話
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あれから三年。
「ねぇ聞いた? エリー」
声をかけてきたのは職場の友人だ。
ここのところ一番仲良くしているのは彼女だ。
「何かの話?」
「そう! フィレルって人の話だよ」
「多分聞いていないと思うわ」
「そっか。なんかね、結婚する前にレネが子を宿したらしくってさ」
「ええ……」
「その出産の時に事故が起きたらしくって。レネ、赤ちゃんと一緒に死んじゃったんだって」
「死……、こわ」
「ほんとそれだよね! 怖すぎー。でもまぁ、罰かな」
母子共に亡くなってしまうなんて、あまりに悲しく理不尽な悲劇だ。
……本来は。
けれどもレネに関しては違う。
彼女は悪行を重ねてきた。
他人の夫に手を出して、過剰な交流を続けて、悪びれもせず。
そんな彼女だから、たとえ出産によって死んだとしても可哀想とは思えない。
この手で殺そうとは思わない。
でも死ぬこととなってしまったのならそれは天罰だろう。
「でね、フィレルさん、レネのお父さんにひっどく怒られたみたいでさ。レネのお父さんに心身共にボロボロにされてしまったんだってー。何か色々されたみたいだね」
――それから数週間、私は、奇跡のような出会いによって一人の青年と知り合った。
それは奇跡で、ある意味運命ともいえるようなもの。
彼との出会いが私の人生を大きく変えた。
そして、未来もまた――。
彼が変えてゆく……否、彼が私の手を取って新たな領域へと連れていってくれる。
だからこそ。
光ある未来を信じて。
私は彼と共に進む、どこまでも。
◆終わり◆
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