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前編
しおりを挟む「お前との婚約は破棄とする!!」
そう宣言されたのは、大雨の日だった。
数ヶ月ぶちの豪雨。
朝から凄まじい音がしていた。
そんな日に婚約者であるリフイールから「我が家に来い」と言われ、私は仕方なく馬車で彼の家へ向かった。
濡れたのは気持ち悪かったけれど……。
でも、こんな天候の日に呼ぶくらいだからきっと大きな良いことなのだろう、と思っていた。
しかしそれは間違いだった。
「お前と婚約してから俺はいつもあれこれ言われてきた。趣味が悪い、とか、あいつといるとお前までぱっとしなく見えるな、とか。俺がどれほど辛い想いをしてきたか……お前に分かるか? 俺があれこれ嫌なことを言われるのは、すべてお前のせいなんだ! 分かるか? お前のせいで、完璧な俺に傷がついたんだ!! どうしてくれる!! 俺の完璧さに傷をつけて! これは、一度謝って済むような話ではないんだぞ!!」
リフイールは感情的になっていた。
「何を黙ってる!」
「あの……」
「お前のせいで俺は傷つけられてきた! 全部お前のせい! お前がいたせいで、お前が婚約者になったせいで、俺は生きてゆけないくらいの恥をかいたんだ!」
しまいに彼は棒状の木材を取り出して。
「全部お前のせいだ――死ねええええええッ!!」
それで殴ろうとしてきた。
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