婚約破棄された日、あの悲しみの日、貴方に出会った。そして――。

四季

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前編

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 婚約破棄された日、あの悲しみの日、貴方に出会った。

 思えばもうあれから数ヶ月が過ぎて。
 早いものだなと思う。
 でも、今でもこうして手をそっと握り合っていられて、貴方の隣にいられて嬉しい。

 今もこうして、同じベンチに座って誰よりも近くにいられている。

 こんな幸福はない。

 まるで夢みたいだ。
 だからこそこの時間がいつまでも長く長く続いてほしい。

 できるなら、一瞬を永遠に。

 できる限り引き延ばしてほしいとすら思う。

「あのさ、ちょっと……」
「……なに?」

 顔を横向けて、目線を合わせる。

 顔と顔がこの上なく近づく。

 それでも不快感はない。

 愛する人、貴方となら。

「実は、その、言いたいことがあって」
「恐ろしいこと?」
「いやそれはないと思う……」
「そう。じゃあ良かった。何でも言って」

 貴方は少し躊躇うような顔をしたけれど。

「結婚してほしいんだ」

 数秒の間の後、そう言った。

「これからもずっと一緒にいたい、共に生きていこう」
「……冗談?」
「いや、本気」
「……そんなこと、本気で言っているの?」
「そうだよ」
「……そう、そうね」

 かつて私を捨てたあの人は、他の女と私を比べた。
 そして言ったのだ。
 私のことを、誰にも選ばれない価値のない女、と。

「ありがとう、嬉しいわ。……そうしましょう」

 でも、そうはならなかった。

 諦めていたけれど。
 選ばれる時は来た。
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