婚約破棄された日、あの悲しみの日、貴方に出会った。そして――。

四季

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後編

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「……良かった。なら、改めて。これからよろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いします」

 こうして私は幸福への第一歩を踏み出す。

「これから、楽しいこと、たくさんしよう」
「ええ」
「きっと幸せにする、できる限り。そう誓うよ」
「ありがとう、嬉しいわ」

 結婚しても楽しいことばかりではないということは知っている。けれども、それでもなお。今はただ、小さなものでもいいから夢をみていたい。愛おしい人との光に満ちた未来を、束の間でも、想像してみたい。

「私も、貴方のためにできることはするから」
「気遣いありがとう。……でも無理しないでね?」
「もうっ、何よその言い方っ」
「ああいやごめん変な意味じゃないんだ」
「ふふ、冗談よ」
「そっか。なら良かった」

 ああ、そうだ、ちなみに――かつて私を切り捨てた彼は、今はもうこの世にはいない。

 何でも、異性関係のことで揉めたそうで。

 ある時その揉め事が大きくなり、一人の女性の兄とそのあまりよろしくない感じの仲間たちから殴る蹴るの暴行を加えられたそうで。

 その時に負った首の怪我が原因となって死に至ったらしい。

 ……確か、いつか、そんな話を聞いた。

「幸せになろう」

 できるなら、この時が永遠になりますように――。

 今はただ、そう願う。


◆終わり◆
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