姉妹の中で私だけが平凡で、親から好かれていませんでした

四季

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中編

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「……分かりました、そうします」

 すると父親はにっこり笑った。

「よし! 決まりだな!」

 そんなに嬉しいの? 私がいなくなることが。私を追い払えることがそんなに幸せ? ……まぁそうだろう。昔からずっと彼は私を不愉快がっていた。良かったわね、都合良く私を視界から消せそうで。

「では伝えておく!」
「はい」

 どのみち、ここにいても未来が拓けることはない。姉や妹たちと比べられる虚しい日々が続いてゆくだけのこと。それならば、いっそ、まったく別の世界へ旅立つ方が希望が見える気がする。

 その数日後、私は婚約者となるであろう男性と顔を合わせることとなる。

 この時だけは父親が熱心に話を進めてくれていた。


 ◆


「初めまして」
「あ……初めまして。アルノレアと申します」

 隣国の領主の次男、その名はザベル・フローリカ。
 三十を超えていると聞いていたが、年齢を感じさせない若々しさのある男性であった。

「緊張してます?」
「……はい、実は」
「緊張しなくて大丈夫ですよ。何もしませんから」
「ありがとうございます」

 滑らかな肌、凛々しい眉、引き締まった口もと。彼もまた整った容姿の持ち主だ。普通より上の容姿、と表現してもおかしくはないだろう。それほどにすべてが整っている。
 そして、浮かべる笑みにも、見る者を魅了するような何かがある。
 なぜこんな人が余り物なのだろう。容姿も性格も雰囲気も女性受けは悪くなさそうなのに。女性から人気がない男性だとはとても思えない。

 私のような地味な感じの人かと考えていたことが申し訳なくて仕方がない。

「ザベル様、あの……」
「ザベルと呼んでください」
「え?」
「様付けで呼ばれるほど高貴な人間ではありません。呼び捨てで構いませんよ」

 ……もしかしてこういうところ?

「でも申し訳ないです」
「いきなりは無理ですか? では無理しないでください。さん付けなら大丈夫です」

 様を付けられるのは嫌でさんを付けられるのは嫌でない、ということだろうか。だとしたらかなり謎だ。今のやり取りで取り敢えず分かったのは、彼が不思議な感性の持ち主だということ。
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