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中編
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「どうすれば魔王を倒せますか? 教えて下さい! 倒せる可能性がなくとも、聞かせてほしいです!」
「うむ。面倒臭いが……そこまで言われては仕方ない」
巫女は露骨に嫌な顔をしつつ話し始める。
「魔王を倒すには、三つの秘宝が必要なのじゃ」
三本の指を立てながら、巫女は言う。
「まず一つ目は、『春期講習の紙』というもの」
「何ですか、それ」
「十二年前、うちの近所の三好さんが要らないからと道にポイ捨てした、大手進学塾の春期講習のチラシじゃな」
三好さんて誰だ……。
しかし僕は突っ込まず、巫女の話を真面目に聞き続ける。得た情報の中に魔王を倒すヒントが潜んでいるかもしれないと思うから。
「なるほど。それで、二つ目は?」
「まぁ、そう焦るな」
巫女は軽く肩を回してから述べる。
「二つ目は『必須アミノ傘』という伝説の傘。これは、百億万年も前に作られた伝説の傘じゃ。この傘を覚醒させた者は、必須アミノ酸を体内合成できるようになるらしい。……もっとも、手に入れられた者自体いないが」
確かに凄そうだ。
「どこにあるんですか?」
「北の雪山じゃ。苦労山という名の山があってな、その天辺付近に洞穴がある。そこにしまってあるらしい」
「へー。それなら僕でも行けそ……」
「いいや、無理じゃ!」
またしてもはっきりと言いきられてしまった。
そんなにはっきり言わなくても、と膨れていると、巫女はさらりと言う。
「洞穴付近には、クロスカントリーのクラシカル走法用コースにあるような溝が、たくさん掘られている。土足では危険じゃ」
「そんなに溝が……」
「あぁ。あれはもう、どこが溝か分からないくらい溝だらけじゃ。しかもよく滑る」
山登りくらいなら僕でも何とかできそうだが、足下が滑るとなっては、恐らく為す術がないだろう。この秘宝を手に入れるのは無理そうだ。
残る一つに期待するしかないか。
「うむ。面倒臭いが……そこまで言われては仕方ない」
巫女は露骨に嫌な顔をしつつ話し始める。
「魔王を倒すには、三つの秘宝が必要なのじゃ」
三本の指を立てながら、巫女は言う。
「まず一つ目は、『春期講習の紙』というもの」
「何ですか、それ」
「十二年前、うちの近所の三好さんが要らないからと道にポイ捨てした、大手進学塾の春期講習のチラシじゃな」
三好さんて誰だ……。
しかし僕は突っ込まず、巫女の話を真面目に聞き続ける。得た情報の中に魔王を倒すヒントが潜んでいるかもしれないと思うから。
「なるほど。それで、二つ目は?」
「まぁ、そう焦るな」
巫女は軽く肩を回してから述べる。
「二つ目は『必須アミノ傘』という伝説の傘。これは、百億万年も前に作られた伝説の傘じゃ。この傘を覚醒させた者は、必須アミノ酸を体内合成できるようになるらしい。……もっとも、手に入れられた者自体いないが」
確かに凄そうだ。
「どこにあるんですか?」
「北の雪山じゃ。苦労山という名の山があってな、その天辺付近に洞穴がある。そこにしまってあるらしい」
「へー。それなら僕でも行けそ……」
「いいや、無理じゃ!」
またしてもはっきりと言いきられてしまった。
そんなにはっきり言わなくても、と膨れていると、巫女はさらりと言う。
「洞穴付近には、クロスカントリーのクラシカル走法用コースにあるような溝が、たくさん掘られている。土足では危険じゃ」
「そんなに溝が……」
「あぁ。あれはもう、どこが溝か分からないくらい溝だらけじゃ。しかもよく滑る」
山登りくらいなら僕でも何とかできそうだが、足下が滑るとなっては、恐らく為す術がないだろう。この秘宝を手に入れるのは無理そうだ。
残る一つに期待するしかないか。
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