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前編
しおりを挟む普通に結婚して、子どもを生んで、そうやって生きてゆくものと思っていた。
――昨日までは。
しかし私はその普通に乗り切れず。
婚約者ローガから「もうおしまいにしよう、君は面白くない」と言われて婚約破棄された。
なんということだ、という感じだろう。
いや実際その通りで。
人生設計が一気に崩れてしまった。
これからどうしろというの? ここまで来て捨てるなんて。
そんな言葉を吐いてやりたかった。
でも当然できず。
そのまま彼の前から去ることを選んでしまった。
そんな情けない私は今日、栗拾いに来ている。
「わぁ~、栗ってこんなのなんだぁ~」
「そっと触ってごらんなさい」
「うわぁ~! 本当だ! 栗だ栗だぁ~!」
同じ参加者でも、私は憂鬱だけれど皆がそうなっているわけではなかった。
「ほら、そっちにもあるわよ」
「ぼくが取る! そっちの栗!」
「おらもおらも~」
「おまえそっち取れよ!」
「もう! 二人とも、喧嘩しちゃだめよ!」
色々ありながらも、特に子どもは皆楽しそうにしている。
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