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後編
しおりを挟む「「は~い……」」
ああ、いいなぁ。
あんな風に純粋に楽しめたら、きっととても幸せだろうなぁ。
「じゃあさ、そっち取れよな」
「おらこっちで取っとく~」
「そうしよ。手分けした方がいいよな、喧嘩にならないしさ」
「うんそうだねぇ~」
もし私にもできるのなら、あんな風になりたい。自由に、楽しく、明るい世界を翼で飛ぶかのように。そんな風に栗拾いを真っ直ぐに楽しみたい。
……無理だろうけど。
だが、その日の栗拾い中、私はまさかの『伝説の栗』と拾った。
その栗は百年に一度特別な人の前だけに現れると言われている栗だ。形自体は普通の栗なのだが、虹色に輝いている。しかも甘い花のような香りがする。
それによって私は国王が直々に認める『伝説の栗聖女』となった。
以降、生活に困ることはなく。
城に住まわせてもらって、穏やかに暮らすことができた。
ただ栗拾いに参加しただけなのに意外な展開となってしまった。が、悪い展開ではなかったので、流れに乗っておくことにした。
幸せな波が来たなら乗ってみるに限る。
ちなみにローガはというと、あの後散歩中に落とし穴に落ちて負傷し以降も何かと不幸なことが続いたそうで――しまいに不審者に刺されて落命してしまったそうだ。
それにしても、運悪く不審者にやられてしまうとは。
……気の毒に。
◆終わり◆
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