暴力王子に情けは不要です! なんなら王家ごと滅んでほしいくらいですよ!

四季

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前編

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 我が婚約者でこの国の王子でもある彼エンペリヌールスがある日突然告げてくる。

「エートリカ! 貴様との婚約は本日をもって破棄とする!」

 彼は侍女やお客さんなどもいる場にてそんな風に勢いよく宣言し、さらにそこから、連続で頬を張ってくる。

「あちょちょちょちょ! あちょちょちょちょ! あたたたたたたた! はぁああああ! ふっふっふっふっふっふっふっふっ!」

 右から、左から。
 容赦なくビンタを入れてくる。

 皆冷めた目でその光景を眺めている。

 そう、これが何なのか、皆知っているのだ。

 エンペリヌールスはスーモゥという東国の格闘技を大変気に入っていて、日々それの試合を鑑賞している。で、この頬を張る行為というのも、その格闘技に含まれているのである。

 ……確か、張り手、とか?

 そんな名称だった気がする。

「ふう……張り手終了! じゃ、これで。二度と俺の前に現れるなよ、エートリカ」

 こうして私は捨てられてしまったのであった。

 なぜ私は張られなくてはならなかったのか……。
 しかもこんな数えきれないほど……。

 一体、私が何をしたというの?

 何度も叩かれた両頬はじんじんと痛んでいた。
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