暴力王子に情けは不要です! なんなら王家ごと滅んでほしいくらいですよ!

四季

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後編

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 ◆


 あれから数年、私は、エンペリヌールスよりももっと良い相手と巡り会えた。
 そしてその人と結婚した。
 生まれ育った国から比較的近いところに位置する大国の第一王子エッブェルガーオス・アガ・アイバトリエーストシス、その人こそが我が夫となった人である。

 エッブェルガーオスはエンペリヌールスのような暴力的な行為はしない人なので、今も私のことを丁寧に扱ってくれている。

 あのまま我慢してエンペリヌールスと一緒にいなくて良かった、今はそう思う。

 人生とは出会いと別れ。それゆえ、不愉快な人とは離れた方が良いこともあるのだろう。不要なものを切り捨てることで手に入れられる幸福もある、今は迷いなくそう思える。もっとも、エンペリヌールスの件では向こうが切ってきたわけだが。でも、そこで抵抗していたとしてもきっと良いことなんてなかっただろうから。あの時迫ってきた波に自然な感じで乗っておいて良かった。

 ちなみにエンペリヌールスを含む王子王女あの後皆滅んだようだ。

 エンペリヌールスは視察中に大勢の目の前で射殺された。
 彼の弟は軍学校の寮内の一室にて謎の死を遂げた。
 そして妹二人も……第一王女は部下に毒を盛られて亡くなり、第二王女は怪しい男に誘拐され数時間にわたり苦痛を与えられた果てに殺害された。

 こうして王族に未来はなくなった。

 王家は今はまだ辛うじて存在しているが。
 だがそれも時間の問題でしかない。
 いずれはその権威も崩れ、人の記憶の海に沈みゆき、消え去ることとなるだろう。


◆終わり◆
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