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前編
「お姉さまのネックレス、いただきましたわよ!」
妹ミルフェナからいきなりそう言われたのは、ある晴れた日の朝だった。
「え。待って、それは母の形見よ。母が私に遺してくれたものなの」
「お姉さまには相応しくないでしょう」
そう、私たち姉妹の母は、私たちが幼かった頃に亡くなった。
今ミルフェナが奪った翡翠のネックレスは、母がこの世から去る直前に私に遺してくれたものだ。
母は言ってくれた、貴女にあげるわ、と。
だから、ずっと肌身離さず持って、どんなものよりも大切にしてきた。
これがあったから、どんな辛い時も乗り越えられたのだ。
ミルフェナと違ってあまり運が良くなかった私は、災難に多々見舞われて来たけれど、それでもいつも母の形見が私の心を支えてくれていた。
「こういう綺麗なアクセサリーは美しい娘にこそ相応しいんですわよ」
「ミルフェナ! 奪う気!?」
「あら、奪う、だなんて……人聞きが悪いですわね」
「貴女は貴女で貰ったでしょう? 確か、指輪とか……。どうして私のものにまで手を出すのよ!?」
「このネックレスはあたくしにこそ相応しい! だからいただくだけのことですわ。奪った、なんて、そんなのではありませんの」
勝手だ、勝手過ぎる。
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