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10話「彼は闇に、私たちは光に」
しおりを挟むその頃ベルガルはというと、親に縁を切られ路頭に迷っていた。
彼はアリシーナがいなくなってからより一層派手に女遊びをするようになった。しかも、己の金のみならず家の金や国の金までも使いこんで女と遊ぶようになっていって。その行動は日に日に悪化してゆくような状態であった。侍女、踊り子、怪しい女、と心の赴くままに遊び相手を変えていった。
「さ、寒い……寒い、よお……」
そしてある時、闇組織と繋がりのある女性と深い仲に発展して。
その女性の誘いで法的にグレーゾーンな仕事に肩入れしてしまったベルガルは民から酷く批判され、王家の評判まで凄まじく低下させた。
それによってベルガルは親を本気で怒らせてしまったのだ。
そして今に至っている。
「寒いよぉ……女、女が欲しいよぉ……誰か相手にしてえ……」
彼は今、街を彷徨う一人の男でしかない。
金も地位ももうない。
だから誰も相手にしてはくれない。
彼は極寒の孤独の中で一人彷徨っている――好き放題できて楽しかった過去の亡霊に縋り、失われた温もりを求めながら。
◆
「アリシーナ様! パルフィ様! ご結婚おめでとうございます!」
私は今日ついにパルフィと結ばれた。
これからはモロロリットの人間ではなくなる。
でもそれでもいい。
想いあえる人といられるならそれで。
……自分でも思うわ、夢みすぎだ、って。
でも、それでも、この夢に今は浸っていたいの。
「こっちに来てくれてありがとう、アリシーナさん」
「いえ」
「後悔させないように頑張るから!」
「まぁベルガルに比べれば貴方はとっても素敵な文句のつけようのない人よ……既に……」
女遊びが酷くないだけでも良い人に見えるのだ。
「く、比べたら!?」
「いえ、それだけのことではないけれど」
「そ、そう……良かった……」
胸を撫で下ろすパルフィ。
「貴方が好きです」
そう言ってやれば。
「……は、恥ずかしいです、急な直球は意外と」
彼は頬を赤らめていた。
◆終わり◆
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