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9話「共に歩む、決意を胸に」
しおりを挟む「もちろん! 一生後悔させません! ……努力します」
そう誓うパルフィの瞳は強さをはらんでいて、しかしその一方で差し出された震えていた。
私は彼に何をさせているのか?
――急に悪いことをしているような気持ちが湧き上がってきた。
そして、彼の手をそっと取る。
「ありがとうございます」
一言と共に。
手と手が重なる。
そして互いの指が絡み合って。
「アリシーナさん……!」
パルフィがようやく面を上げた時、その瞳には感動の情が色となって確かに存在していた。
「私も、パルフィさんのことは好きです」
「えっ」
「これがそういう好きかどうかは分かりません、でも、いつも傍にいたいと思います」
「ほ、本当ですか!!」
パルフィはひっくり返ってしまいそうな勢いで声を発した。
「はい」
私はそっと頷きを返す。
「嬉しいです!!」
こうして、私とパルフィは新たなステージへと関係を進めることとなったのだった。
事故に遭った時は、傷を負ったと知った時は、もうおしまいかと思った。だって、傷を負った私を受け入れてくれる人なんていないと思っていたから。でもそれは私の勝手な思い込みで。彼は私が傷を負ってもなお受け入れてくれ、それどころか、一歩先へと踏み込んでくれた。
「またお茶したいですね」
「え!? あんなことがあった後なのに!?」
「それとこれとは別ですよ。お茶はとても楽しかったですし」
生きていれば辛いことはある。
でも乗り越えるしかないのだ。
人間に強大な力はない、だからこそ、そうやって一つずつ山を谷を越えて歩んでゆく外ない。
でも、彼とならきっと大丈夫。
パルフィとなら、光を見つめて歩いてゆける――具体的な根拠はないかもしれないけれど、今はそんな気がする。
「で、でも、トラウマになっておられるかと」
顔色を窺うような目でこちらを見てくるパルフィ。
「心配なさらないでください、それとこれとは別に捉えていますから」
私はなるべく落ち着いているような顔を作って返す。
彼の中のこれ以上不安を大きくしたくないから。
「そ、そうでしたか、なら良かった……」
「でも、パルフィさんに嫌われなくて良かったです。こんな状態になってしまったら嫌われてしまうかと思いました」
「そんなわけ! しかし、次からは、きちんと警備をつけます。もっと早くそうするべきでした……すみません」
脇にいた母は途中から手のひらで目もとを覆い出した。
どうやら涙がこぼれているようだった。
「謝らないでください、貴方は何も悪くないですから」
「でも警備はつけますよ!? そこは譲れません!! 絶対に、です!!」
「……ありがとうございます」
「もう貴女が傷つかないように、できることは何でもします!!」
事故は大きな出来事となった――そう、しかも、いろんな意味で。
この件がなかったら私は今頃どうなっていただろう。
想像なんてできない。
でも、不幸に思える出来事が私と彼をより強く繋いでくれたのだから、人生とはよく分からないものだ。
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