少しも愛してくれず散々女遊びしておいて私を悪女扱いするような彼との縁は切れて良かったです。

四季

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8話「かなり驚きました」

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「貴女と結ばれたいです!!」

 少々情緒不安定気味になっていたパルフィの口から飛び出したのはそんな言葉だった。

 すぐに言葉を出せないくらい驚いた。
 そして傍にいた母も口を大きく丸くぽかんと空けていた。

「あ……えと、それは、一体」
「アリシーナさんが事故に遭ったと聞いて衝撃でした。そして、そのショックを感じると共に気づいたのです、貴女はとうに僕にとって特別な人になっていたのだと」
「それはまた、大層ですね」
「いえ! 大層に言っているのではありません! ……それこそが本心なのです」

 確かにやり取りはちょこちょこしていたけれど、でも、少し驚きはあった。

 だってそうだろう? 結ばれたい、なんて。まさかそこまでの感情が彼にあったなんて。

「ずっと気づいていませんでした……いえ、気づかないふりをしていたのだと思います。僕はずっと前から、あの初めて会った日から、貴女に憧れていたのに。なのに本心を打ち明けることはできず、だらだらと関わりだけを続けて……」

 彼は熱く語っていた。

「でも! 今こそ言います! 結婚を見据えて、これからはお付き合いしてください!」

 思いは伝わる。
 彼の熱も。

 でも……私なんかで良いのだろうか?

「お気持ちは嬉しいです。でも、私、普通の女です。貴方に相応しいかと考えたらそうは思えないですし……」
「貴女が理想の女性です!」
「ええっ……」
「え、あ、僕は何かおかしなことを言ってしまったでしょうか」

 パルフィは暫し不安げな表情を浮かべたが。

「貴女こそ至高です!!」

 数秒の間があってその後、大きな声で告げてきた。

 彼は面白いくらい真っ直ぐだ。そして正直。普通恥ずかしいと思うようなことですら勢いのままに発する、そんなところがあって。面白いのだけれど、でも、自分が同じことをできるかと考えたら無理だろうなという感じで。そう言う意味で、彼の真っ直ぐさは、尊敬できる部分でもあった。

「どうか、これからも一緒にいてください!」

 彼はそう言って片手を差し出してくる。

 その手を取るべきか否か迷った。

「……私はもう傷ものになってしまいました。この額の傷は消えないでしょう、恐らくですが。それでも、それでも……良いのですか? 貴方は後悔しませんか」
「しません!!」
「即答ですね」
「当たり前ですよ! だって、僕には貴女だけなんですから!」

 その言葉を信じたい、そう思ってはいる。

「信じれそうにないです」
「ええっ!?」
「貴方が嘘つきだと思っているわけではありません、でも、信じて良いものかどうか」
「お願いです信じてください!!」
「……私も貴方を信じたいです」
「どうぞ!!」
「信じて後悔なんてさせないと……そう言ってくださいますか?」

 やり取りしている間、ずっと、母はにやにやしていた。
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