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前編
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そこそこ良い家の娘であるシャレピナには、二つ年上の婚約者がいる。その婚約者の名はアドスといい、彼もまた、国においてそれなりに地位のある家柄の出であった。そういう意味ではつりあっていた二人。しかし家柄がつりあっているからといってその心が純粋に互いを見つめることはなく。シャレピナはともかく、アドスは彼女を愛してはいなかった。
そして、ある時ついに、シャレピナはアドスが裏でどういうことをしていたのかを知ってしまう。
というのも、用事でシャレピナがアドスのもとを急に訪ねた際、アドスは薄着な女性と共に自室のベッドの上で眠っていたのだ。
シャレピナ自身、想定外だったのでショックを受けた。
けれども彼女以上に怒った者がいて。
それが、シャレピナの親であり、また姉であった。
「どういうことなのよ……」
「最低すぎる! そのような男に可愛い娘はやれん!」
両親の胸はアドスへの怒りに満ちて。
「絶対許さないわ! 可愛いシャレピナを放置して他の女と遊ぶなんて! 絶対よ、絶対に……恥をかかせてやる!」
姉もまた、憎しみの色を瞳に滲ませていた。
激怒した姉は動いた。
両親の協力も得て、アドスに恥をかかせるべく動き出したのだ。
そこそこ良い家の者が集まる催し物にて、シャレピナの姉と両親はアドスの行いの真実を明かした。それによってアドスは皆から冷ややかな目を向けられることとなる。
「サイッテー」
「ろくでもないですな」
「酷い男ね、あり得ないわ」
「馬鹿男かーい」
「ましなのは家柄だけね」
アドスは居場所を失い早退するしかなかった。
そして、ある時ついに、シャレピナはアドスが裏でどういうことをしていたのかを知ってしまう。
というのも、用事でシャレピナがアドスのもとを急に訪ねた際、アドスは薄着な女性と共に自室のベッドの上で眠っていたのだ。
シャレピナ自身、想定外だったのでショックを受けた。
けれども彼女以上に怒った者がいて。
それが、シャレピナの親であり、また姉であった。
「どういうことなのよ……」
「最低すぎる! そのような男に可愛い娘はやれん!」
両親の胸はアドスへの怒りに満ちて。
「絶対許さないわ! 可愛いシャレピナを放置して他の女と遊ぶなんて! 絶対よ、絶対に……恥をかかせてやる!」
姉もまた、憎しみの色を瞳に滲ませていた。
激怒した姉は動いた。
両親の協力も得て、アドスに恥をかかせるべく動き出したのだ。
そこそこ良い家の者が集まる催し物にて、シャレピナの姉と両親はアドスの行いの真実を明かした。それによってアドスは皆から冷ややかな目を向けられることとなる。
「サイッテー」
「ろくでもないですな」
「酷い男ね、あり得ないわ」
「馬鹿男かーい」
「ましなのは家柄だけね」
アドスは居場所を失い早退するしかなかった。
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