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後編

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 ◆


「ほな、これからよろしく!」
「こちらこそ」

 今日は特別な日。
 王子ローロクとの結婚式である。

 緊張して、固くなって、朝から胸元が少々痛かった。

「んもーっ、もっとのびのびしてていいんやで!?」
「お気遣いありがとうございます」
「いやはやおかしいやん! まぁ、ええけどな。素晴らしい女性なんやから、堂々として、ありのままでいいんやで」

 でもローロクが気にかけてくれるから段々緊張もほぐれていって。

「ま、まったりいこ!」
「そうですね」

 式が近づく頃になって、ようやく、迷いなくありのままの私で前を向けるようになってきた。

 ちなみにヴェルフィリーズはというと、あの後少しして屋敷の階段から転落し頭を強打して死んでしまったそうだ。

 転落しただけなら死にはしなかったかもしれない。でも打ち所が悪かったのだ。だからこそ不幸にも死に至ってしまったのだろう。

 ま、冷静に考えて、頭部を強く打てば死んでしまってもおかしくはない。

 あまりにもあっさりした最期であったようだ。


◆終わり◆
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