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後編

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 ◆


 あれから二年が経った。

 あれは確か一年ほど前。
 私は親の知り合いである男性と会ってみることになった。

 で、その彼と意外と気が合って。

 それで彼と結婚する方向で話が進み――先日ついに手続きをして結婚式も挙げて、正式に夫婦となった。

 たぬき似の彼は今まで複数の女性から「顔が嫌」「かっこよくないから無理」などと言われ傷ついてきていたようだ。しかし、傷ついた経験がある人だからこそ他者に優しくできるというもので。彼は私に対して傷つけるようなことは一切言わない。

 そうそう、そういえば、アドマリンはあの後すぐに別の女性と結婚したそうだが――慎ましく優秀だった相手女性は結婚を機に豹変し、今ではアドマリンもその母親も嫁であるその女性に尻に敷かれているというような状態だそうだ。

 あの母親をもってしても押さえ込めない女性とは一体どれほど強い人なのだろう……。

 でも、正直、ざまぁみろと思う部分もある。

 大人しくしていただけの私にあそこまであれこれ言ってくるような人だ、一度痛い目に遭わなければ改心しないだろう。

 ま、今後は誰かの言いなりになって生きてゆけばいい。

 アドマリンは少し気の毒ではあるが、アドマリンの母親に関しては完全に自業自得である。


◆終わり◆
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