「愛している、かつてそう言ったが――今はもうお前を愛することはできなくなった」なんて言われるとは思いませんでしたよ。

四季

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「愛している、かつてそう言ったが――今はもうお前を愛することはできなくなった」

 婚約者アーロンは冷ややかに告げてくる。

「よって、婚約は破棄とすることにした」

 彼はどこまでも正直だった。かつてはその真っ直ぐさに惹かれてもいたのだが。今となってはそれもお世辞にも良いところとは思えない部分となってしまった。

 ……長所が短所に変わってしまうとは、悲しいことだ。

「聞いているのか?」
「あっ。すみません、はい、聞いています。婚約破棄、ですよね」
「ああそうだ」
「それでは私はこれで……ということで良いのですよね?」
「ああ、そうしてくれ」

 こうして私とアーロンの縁は切れることとなってしまったのだった。

 別れるにあたり、彼は、少しだけ慰謝料のようなものを支払ってくれた。
 嬉しいかと問われれば嬉しいとは答えづらいけれど……でも、まぁ、何もないよりかは少しは彼の心も伝わるような気はした。

 その後、アーロンは、金髪美女と歩いているところがよく目撃されるようになった。

 一方私はというと、婚約が破棄となったことを知った近所住みの異性の友人アルトが定期的に会いに来てくれるようになって、彼とよくお茶をしたり散歩したりするようになっていった。

「いやぁ、今日も天気良いねぇ」
「そうね」
「日射しが眩しいくらいだよ」
「同感だわ。でも、たまにはこういうのも悪くないわね。理由なんてないけれど……今はそう思うわ」

 アルトと過ごす時間は穏やかで楽しい。

 特別感や刺激はないけれど。

「アルト、これからもまた、こうやって時々一緒に過ごしましょうね」
「うん! それはもちろん!」
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