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「あ。でも、困るのだったらそう言ってちょうだいよ? 友人だもの、貴方の生活を壊すようなことはしたくないから」
「う、うん。そうだねぇ。でも……」
空を見上げ、彼は曖昧な言葉をこぼす。
「何?」
「ううん、何でもないよ」
結局ごまかされてしまった。
……しかし、アルトのあれは一体何だったのだろう?
◆
あれから数ヶ月。
街の人たちの噂話でアーロンが金髪女性に貢ぎ過ぎて勘当されたという話を知った。
何でも、彼は金髪女性に惚れ込んでいたようで。
言われるままに大量の金をつぎ込んでいたそうで、しまいには親の金にまで手を出しそれがばれたのだそうだ。
……やれやれ、何をやっているんだか。
それしか言えない。
「――ってことがあったんですって」
「ええー、それは大変だねぇ……」
今日もまたアルトに会っている。
「まぁ彼は真っ直ぐな人だから、想像できないことはないのだけれど」
「そういうところが好き?」
「……昔は、ね」
今日は私の家の庭でお茶をしている。
心地よい風の中、温かな茶を口に含む。これは非常に素晴らしいこと。嬉しく、愛おしい、そんな尊い時間だ。生きている、幸せさが強くそう感じさせてくれる。
「今はもう好きじゃない感じ?」
「そうね、もう縁は切れたし」
「あるいはそれでも好き? 本当は」
「まさか。すべて終わったことよ」
「そっかぁ」
今日のアルトはやたらとアーロンについて聞いてくる。
何やら不自然だな、と思っていたら。
「あの、さ……」
アルトは急に真剣な面持ちになる。
「う、うん。そうだねぇ。でも……」
空を見上げ、彼は曖昧な言葉をこぼす。
「何?」
「ううん、何でもないよ」
結局ごまかされてしまった。
……しかし、アルトのあれは一体何だったのだろう?
◆
あれから数ヶ月。
街の人たちの噂話でアーロンが金髪女性に貢ぎ過ぎて勘当されたという話を知った。
何でも、彼は金髪女性に惚れ込んでいたようで。
言われるままに大量の金をつぎ込んでいたそうで、しまいには親の金にまで手を出しそれがばれたのだそうだ。
……やれやれ、何をやっているんだか。
それしか言えない。
「――ってことがあったんですって」
「ええー、それは大変だねぇ……」
今日もまたアルトに会っている。
「まぁ彼は真っ直ぐな人だから、想像できないことはないのだけれど」
「そういうところが好き?」
「……昔は、ね」
今日は私の家の庭でお茶をしている。
心地よい風の中、温かな茶を口に含む。これは非常に素晴らしいこと。嬉しく、愛おしい、そんな尊い時間だ。生きている、幸せさが強くそう感じさせてくれる。
「今はもう好きじゃない感じ?」
「そうね、もう縁は切れたし」
「あるいはそれでも好き? 本当は」
「まさか。すべて終わったことよ」
「そっかぁ」
今日のアルトはやたらとアーロンについて聞いてくる。
何やら不自然だな、と思っていたら。
「あの、さ……」
アルトは急に真剣な面持ちになる。
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