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2話

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「あ。でも、困るのだったらそう言ってちょうだいよ? 友人だもの、貴方の生活を壊すようなことはしたくないから」
「う、うん。そうだねぇ。でも……」

 空を見上げ、彼は曖昧な言葉をこぼす。

「何?」
「ううん、何でもないよ」

 結局ごまかされてしまった。

 ……しかし、アルトのあれは一体何だったのだろう?


 ◆


 あれから数ヶ月。
 街の人たちの噂話でアーロンが金髪女性に貢ぎ過ぎて勘当されたという話を知った。
 何でも、彼は金髪女性に惚れ込んでいたようで。
 言われるままに大量の金をつぎ込んでいたそうで、しまいには親の金にまで手を出しそれがばれたのだそうだ。

 ……やれやれ、何をやっているんだか。

 それしか言えない。

「――ってことがあったんですって」
「ええー、それは大変だねぇ……」

 今日もまたアルトに会っている。
 
「まぁ彼は真っ直ぐな人だから、想像できないことはないのだけれど」
「そういうところが好き?」
「……昔は、ね」

 今日は私の家の庭でお茶をしている。

 心地よい風の中、温かな茶を口に含む。これは非常に素晴らしいこと。嬉しく、愛おしい、そんな尊い時間だ。生きている、幸せさが強くそう感じさせてくれる。

「今はもう好きじゃない感じ?」
「そうね、もう縁は切れたし」
「あるいはそれでも好き? 本当は」
「まさか。すべて終わったことよ」
「そっかぁ」

 今日のアルトはやたらとアーロンについて聞いてくる。

 何やら不自然だな、と思っていたら。

「あの、さ……」

 アルトは急に真剣な面持ちになる。
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