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後編
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その後、婚約破棄の手続きは進み、私は一旦母国へ帰ることとなった。
希望を胸にここへ来た。それなのに何もなせなくて。私は失意を胸に歩くしかなかった。来た時は美しく輝いて見えた景色、それすらも、今は色がないように目に映る。所詮、すべて、心を映し出す鏡でしかないのだろう。
ただ救いもあった。
それは、両親や母国の人たちが、帰ってきた私を温かく迎えてくれたことだ。
事情が知らされていなかったとしたら色々言われたかもしれない。が、今回の場合、事前に国民にも事情が知れ渡っていた。そのため、私がやらかしたと思われることもなく、嫌みを言われたり嫌がらせをされることもほぼなかった。
しかし、その後の両国の関係は、以前とは変わり果ててしまった。
こちらの国は理不尽な婚約破棄に怒っている。向こうの国は王子を必死で擁護する。その結果、すれ違いが起き、日に日に距離感ができていって。そうなってくると、婚約破棄云々以外のところでもすれ違いが多発するようになり、溝は深まるばかり。しまいには、国の上層部のみならず、国民同士までもが負の感情を抱き合うようになってしまう。
母親は「貴女のせいじゃない」といつも励ましてくれた。
父親も「大丈夫、何とかする」と声をかけて気遣ってくれた。
それでもすぐに心が晴れるわけではなくて。悶々とせざるを得ない日々が続いた。ただ、周りの人たちの声かけは、私にとって大きな救いであった。折れそうな心を支えてくれる言葉。そのありがたみをひしひしと感じていた。
一年後、ついに戦争にまで発展してしまった。
ちょっとしたことを理由に、向こうが攻めてきたのだ。
私の母国でもあるこの国は基本戦いを望まない国だ。しかし、向こうから積極的に攻めてくるとなると、また別の話。身を守るためには戦うしかない、という状況になり、こちらの国も抵抗した。
最終的に我が国が勝利を収めた。
隣国の王族は拘束され、処刑は免れたものの、永遠に不自由の中で生きていくこととなった。自由も選択権もない。ほぼ奴隷。ちなみに、その中には当然、王子カルパンも含まれている。
◆終わり◆
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