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前編
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私はある日突然婚約者から告げられた。
「マリー、悪いが婚約破棄させてくれ」
私、マリーは、齢十八の王女。一方、婚約者の彼は二十四歳で、確かに年齢的には相応しくないかもしれない。それでも、隣国の王子王女だから、身分としては申し分ないはずなのだけれど。
「急ですね、カルパン様」
「一ヶ月見てきたが、君は僕に相応しくない。だって、平気で僕に意見するし、庭で走り回る。お茶会より勉強が好きだし、お淑やかでない」
確かに私はらしくないかもしれない。
子どもの頃から周りの女の子たちとは好きなものが少々異なっていた。皆が憧れの男性の話をしている時には勉強していたし、皆がお茶会を開いている時には蝶を追って走っていた。
ただ、これでも努力はしたのだ。
王女として恥ずかしくない振る舞いができるように。
「はっきり言わせてもらうと、君は、僕の妻となりこの国の王妃となるのに相応しくない」
「それは……そうかもしれませんが。しかし! 努力はしてきました!」
「そういうところだよ。君は言いたいことを言う。だから王妃にはなれない」
意見を言ってはいけないの?
本当のことを言っているだけなのに、それがそんなに問題なの?
「……分かり、ました」
「話が早くて助かるよ。では手続きを開始しよう」
彼との婚約が決まった時は嬉しかった。私でも国のために何かができる、そう思ったから。そして、失敗しないように、できる努力はすべてしてきた。彼に気に入ってもらえるよう、自分なりに頑張ってきたつもりだ。
それでもこうなってしまった。
結局私は国のために何もできなかった……。
「マリー、悪いが婚約破棄させてくれ」
私、マリーは、齢十八の王女。一方、婚約者の彼は二十四歳で、確かに年齢的には相応しくないかもしれない。それでも、隣国の王子王女だから、身分としては申し分ないはずなのだけれど。
「急ですね、カルパン様」
「一ヶ月見てきたが、君は僕に相応しくない。だって、平気で僕に意見するし、庭で走り回る。お茶会より勉強が好きだし、お淑やかでない」
確かに私はらしくないかもしれない。
子どもの頃から周りの女の子たちとは好きなものが少々異なっていた。皆が憧れの男性の話をしている時には勉強していたし、皆がお茶会を開いている時には蝶を追って走っていた。
ただ、これでも努力はしたのだ。
王女として恥ずかしくない振る舞いができるように。
「はっきり言わせてもらうと、君は、僕の妻となりこの国の王妃となるのに相応しくない」
「それは……そうかもしれませんが。しかし! 努力はしてきました!」
「そういうところだよ。君は言いたいことを言う。だから王妃にはなれない」
意見を言ってはいけないの?
本当のことを言っているだけなのに、それがそんなに問題なの?
「……分かり、ました」
「話が早くて助かるよ。では手続きを開始しよう」
彼との婚約が決まった時は嬉しかった。私でも国のために何かができる、そう思ったから。そして、失敗しないように、できる努力はすべてしてきた。彼に気に入ってもらえるよう、自分なりに頑張ってきたつもりだ。
それでもこうなってしまった。
結局私は国のために何もできなかった……。
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