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3話
しおりを挟む彼はある意味命の恩人みたいなもの。
あの時彼が声をかけてくれたからこそ自由を手に入れることができた。
今日があるのは、すべて彼の行動のおかげ。
◆
ヴィーダーンとの婚約が破棄となった日からちょうど一年、私はカイールと婚約した。
元婚約者の友人と婚約する、なんて、少々おかしな話かとも思ったけれど。でもカイールがそれを望んでくれたので、私は彼と生きる道を選んだ。
また、私の望みを受け入れ、カイールはヴィーダーンとの縁を切ってくれた。
無理を言ってしまって申し訳なかったと思うけれど……。
でもカイールはそのことを責めたりはしない。それどころか快くすべてを終わらせてくれた。結婚相手と友人など本来は天秤にかけるべき二者ではない、が、今回に関しては事情が事情なので例外。カイールは二つを天秤にかけて私を選んでくれたのだった。
皆に祝福され、愛してくれる人と結婚する。
おとぎ話みたいな話だけれど、それは現実のものとなったのだった。
ちなみにヴィーダーンはというと、あの後結婚相手を探すもなかなか良い人と巡り会うことができず段々心が折れてしまったそうで――やがて「自分は多くの人たちに愛される人間ではなかったのだ」という事実に気づいていったらしく――その事実に向き合う時、彼は心を病んでしまったようである。
心ない行為を重ねて生きてきたヴィーダーンに明るい未来はなかった。
◆終わり◆
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