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1話
しおりを挟むとある田舎の街で生まれ育った私ローエリアと婚約者の彼プッツは将来を誓い合った仲だった。
しかし、婚約後少しして、彼に王都へ出掛ける仕事が舞い込む――それは彼がずっと夢みていた仕事だった。
「俺、夢だったんだ! だからどうか、待っていてはくれないか?」
私はそう話すプッツの言葉を信じた。
そして彼に夢を叶えてほしいと思ってしまった。
――それが間違いだったのだけれど。
「ええ、いいわよ。一年、待ってるわ」
「よっしゃ!」
「待っているから、必ず帰ってきてちょうだいね」
「もちろんだ! ローエリアに凄いって言ってもらえるような大きな男になって帰ってくる、絶対に!」
私は彼を信じていたのだ、この時はまだ……。
「行ってくる!」
「いってらっしゃい。元気でね」
一年待つくらいどうということはないだろう、そう思っていた。
◆
しかし、一年後。
「帰ってきてやったぞ! ローエリア!」
彼は別人のようになっていた。
豪華な服を身にまとい、髪も特殊な色に染め上げて――それだけならまだ良いのだが、驚いたことに何と女数人を連れている。
「プッツ、久しぶりね」
「ああ、けど、再会なんてどうでもいい。もっと大事な話があるんだ」
「何?」
「お前との婚約なんだが、破棄することにした!」
え――、と、脳が硬直する。
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