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2話
しおりを挟む嫌な予感はしていたけれどまさかここまで直球だとは。
「いやぁ、実はさ、王都へ出たらもっと魅力的な女性がたくさんいてさぁ。それで最高でさ。実はもう、相手が決まってるんだ。あとは婚約破棄するだけって状態なんだよ」
彼はもう変わってしまったのか。
かつての私がよく知っていた彼は消えてしまったのか。
「ちょ、何よそれ……」
「田舎もんのお前なんてもうどうでもいいってわけよ」
「失礼よ!」
「まぁまぁ怒んなって、田舎もんは大人しく忠実にしてろや」
それに、田舎者なんて言って見下すなんて、人として最低!
「てことで、お前はもういいんだ。じゃあな、ばいばい」
「ちょっと! 待ちなさいよ! 何なのそれいきなり、一年待たせておいて!」
「知るかよ。ださい女がいきんな」
「……もういいわ」
「あーそうかよ! じゃ消えろや」
帰ってきたらまたあの頃のように関われるのだと思っていた。
でもそれは私の思い込みで。
現実はそこまで優しくなくて、私が想像していたような今日は訪れなかった。
誰もいなくなった玄関先、風だけが髪を揺らし頬を撫でる。
そこにあるのは――無――ただ一つそれだけで。
私の心は傷だらけかつ空っぽだった。
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