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後編
しおりを挟む「アポストロフテス・アンドレハットラ・アドバギャラフトテ・アンドラ・アンドロ・エビヴェアレヴィヴェラ・アンドバラハムト・エヴォギャ・エヴォヴァ・エヴォヴォラ・アポストロフテス」
不思議な呪文。
これは私が幼い頃から使える特殊な力。
「う、く……ぎゃああああ!!」
先ほどまで威張っていたアダンは眼球の中に茨が発生し悲鳴をあげる。
これは恐らく、不思議な呪文によって起こった現象であろう。
彼はそのまま倒れる。
そして数秒のたうち回った後に動かなくなった。
「な、何よ、アダンに何したのよ……!」
「不思議な呪文を唱えただけです」
「酷すぎるわ! こんなの! 酷い、あまりにも、酷い……そうでしょう!?」
「失礼なことを言うからですよ」
「悪女ね! だから彼に愛されないのよ!」
「人の婚約者に手を出す女に比べればましだと思いますよ」
言えば、女はカッとなって殴りかかろうとしてきた。
しかし。
「アポストロフテス・アンドレハットラ・アドバギャラフトテ・アンドラ・アンドロ・エビヴェアレヴィヴェラ・アンドバラハムト・エヴォギャ・エヴォヴァ・エヴォヴォラ・アポストロフテス!」
唱えると、彼女は急に地面に倒れた。
「い、いや、ぁ……あ、あああ……嫌あああああ!!」
みるみるうちに皮膚が黒くなっていく。
「お願いやめて! とめて! 嫌よ、こんなの、嫌あああああッ!!」
こうして、アダンとその浮気相手の女性は滅んだのだった。
◆
あれから数年。
家庭を築き子にも恵まれた私は幸せに暮らしている。
不思議な呪文はあれ以来一度も使っていない。
というのも使う機会がなかったのだ。
今の夫に出会って、それからは幸せ。
だからもうこの呪文を使う日は来ないかもしれない、と、少し思っているところだ。
◆終わり◆
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